リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「爺さんって。あのですね」
呆れ口調で、明子は牧野を座った目で見据えた。
「ヤツが、そう言ったんだよ」
「ボンボン様はいいんです。爺さんだろうと、爺だろうと、好きなように呼んで。でも、牧野さんはダメでしょ」
「バカ。俺だって、人前ではなんか言うもかん。お前だからだろ」
「私も、その他大勢の中でいいです。そんな特別扱いしないでください」
「なあ。とりあえず、その論争はあとにしてくれよ。話しが進まねえから」
やや拗ねたように声でそんなことを言う明子に、牧野はちゃんと話から混ぜっ返すのはなしにしてくれよと懇願した。すいませんと、頬を小さく膨らませながらも、話の腰を折ったことについては形ばかりの謝罪をして、明子は話しの続きを促した。
「新事業の言いだしっぺは、判りましたよ。それがなんなんです」
それがいったい自分になんの関係があるんですかと、そう言いたげな明子に、牧野はため息を吐きつつ、話を続けていく。
「年内には戻ることが決まったんだ、ボンボン。それは言ったっけ?」
「覚えてないです」
記憶をたぐり寄せようとして、明子は止めた。これ以上、無駄に頭を働かせたくなかった。
「新事業部を立ち上げたら、本部長になるのは、多分、ボンボンだと思う」
「はあ」
「ただな。あいつには反対派もいる。知ってるだろ」
「知りたくないですけど、知ってます」
それは、一番巻き込まれたくない、派閥抗争だった。
あんなものに、冒険気分で意気揚々と参戦していく者など、牧野くらいだと言ってやりたいところだった。
呆れ口調で、明子は牧野を座った目で見据えた。
「ヤツが、そう言ったんだよ」
「ボンボン様はいいんです。爺さんだろうと、爺だろうと、好きなように呼んで。でも、牧野さんはダメでしょ」
「バカ。俺だって、人前ではなんか言うもかん。お前だからだろ」
「私も、その他大勢の中でいいです。そんな特別扱いしないでください」
「なあ。とりあえず、その論争はあとにしてくれよ。話しが進まねえから」
やや拗ねたように声でそんなことを言う明子に、牧野はちゃんと話から混ぜっ返すのはなしにしてくれよと懇願した。すいませんと、頬を小さく膨らませながらも、話の腰を折ったことについては形ばかりの謝罪をして、明子は話しの続きを促した。
「新事業の言いだしっぺは、判りましたよ。それがなんなんです」
それがいったい自分になんの関係があるんですかと、そう言いたげな明子に、牧野はため息を吐きつつ、話を続けていく。
「年内には戻ることが決まったんだ、ボンボン。それは言ったっけ?」
「覚えてないです」
記憶をたぐり寄せようとして、明子は止めた。これ以上、無駄に頭を働かせたくなかった。
「新事業部を立ち上げたら、本部長になるのは、多分、ボンボンだと思う」
「はあ」
「ただな。あいつには反対派もいる。知ってるだろ」
「知りたくないですけど、知ってます」
それは、一番巻き込まれたくない、派閥抗争だった。
あんなものに、冒険気分で意気揚々と参戦していく者など、牧野くらいだと言ってやりたいところだった。