リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「もう、人のお弁当を勝手に盗み食いするわ、人を平気で子豚呼ばわりするわ、仕事はできる人ですけど、整理整頓できないし、煮詰まると歩くタバコ男になるし、ガツガツ動いていたかと思ったら、突然、電池が切れたみたいに寝オチするし、謙遜も謙虚も知らないし」
「お前もっ 調子に乗るなっ」
ペラペラと喋り出した明子の口を、また捻ってやろうと思ったのか、頬にするりと伸びてきた牧野の手を、明子はあっさりた払いのけ「大切なお話し中です、大人しくしていてください」と、笑いながら牧野をいなした。
「そうだよ。お兄ちゃん。お話の邪魔はしちゃいけませんって、子どものころから言われているだろ。静かにしててよ」
困らせてやろうと企んだ挙句、瞬く間に亮一と結託してしまった明子と、そんな明子の味方についたように自分をたしなめる亮一に、牧野は顔を真っ赤にしながら「勝手にしろっ」と二人に言い、亮一から花束を強奪するように奪い取ると、怒ったような足取りで歩きだしてしまった。
待ってくださいよと、慌てて牧野を引き留めようとする明子より先に、亮一がのんびりとした声でその背に向かい声を掛けた。
「鍵、持ってかないと、詰め込めないよ」
ほら。
そう言って、牧野が振り返ったタイミングで、亮一は手にしていた鍵を牧野に放った。
空いている手でしっかりとそれを受け取った牧野に「車は、いつものところにあるから」と亮一は言い、その声に「判ってらっ」と牧野はぶっきらぼうな口調で答えると、ズカズカと歩いていく。
その後ろ姿に、亮一はクツクツと楽しそうに笑っていた。
どうやら、この場に居たたまれなくなり、逃げ出す口実に後片付けを手伝いだしたらしいと明子も悟った。
(人を謀って、面白がるようなことばかりするから、しっぺ返しされるんですよーだ)
(べーっ)
明子は歩き去っていく後ろ姿に心の中で舌を出し、思わず、忍び笑いをこぼした。
「お前もっ 調子に乗るなっ」
ペラペラと喋り出した明子の口を、また捻ってやろうと思ったのか、頬にするりと伸びてきた牧野の手を、明子はあっさりた払いのけ「大切なお話し中です、大人しくしていてください」と、笑いながら牧野をいなした。
「そうだよ。お兄ちゃん。お話の邪魔はしちゃいけませんって、子どものころから言われているだろ。静かにしててよ」
困らせてやろうと企んだ挙句、瞬く間に亮一と結託してしまった明子と、そんな明子の味方についたように自分をたしなめる亮一に、牧野は顔を真っ赤にしながら「勝手にしろっ」と二人に言い、亮一から花束を強奪するように奪い取ると、怒ったような足取りで歩きだしてしまった。
待ってくださいよと、慌てて牧野を引き留めようとする明子より先に、亮一がのんびりとした声でその背に向かい声を掛けた。
「鍵、持ってかないと、詰め込めないよ」
ほら。
そう言って、牧野が振り返ったタイミングで、亮一は手にしていた鍵を牧野に放った。
空いている手でしっかりとそれを受け取った牧野に「車は、いつものところにあるから」と亮一は言い、その声に「判ってらっ」と牧野はぶっきらぼうな口調で答えると、ズカズカと歩いていく。
その後ろ姿に、亮一はクツクツと楽しそうに笑っていた。
どうやら、この場に居たたまれなくなり、逃げ出す口実に後片付けを手伝いだしたらしいと明子も悟った。
(人を謀って、面白がるようなことばかりするから、しっぺ返しされるんですよーだ)
(べーっ)
明子は歩き去っていく後ろ姿に心の中で舌を出し、思わず、忍び笑いをこぼした。