リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「小杉さん、でしたっけ?」
やや改まった声で呼びかけられて、明子は気を取り直したように背筋を真っ直ぐに伸ばすと、改めて亮一と向き合った。
「はい。ごあいさつが途中のままでしたね。小杉明子です。はじめまして」
「いえいえ。悪いのはあの怒りん坊ですから。まったく。勝手に行っちゃったくせに、あのままほったらかしとくと、それはそれで拗ねますから」
遠ざかる牧野を指さして、したり顔でそう言った亮一は、明子を促して歩き出した。
「あの……、孝平とは、いつから?」
あいつ、全然、そういう話してくれないし。
水臭いよなあと、拗ねたように言う亮一は、やっぱり、どことなく牧野に似ていると明子は思った。
「前の結婚も、いきなりの話しで、詳しいことはなにも話してくれなくて。いつの間にか話が進んでて、顔を合わせたのも結納の日が初めてで。なんだか寂しかったなあ」
牧野自身が、結婚を決めるに至ったその気持ちを、家族に説明できなかったのかもしれないと、亮一の言葉に曖昧に頷きながら、明子はそんなことを考えた。
自分の家族がほしい。
自分の居場所がほしい。
その思いは、決して、亮一たちには知られたくなかったに違いない。
返してあげなきゃと思ったんだと、そう明子に語った牧野を思い出し、明子はそう思った。
「小杉さんのことは、ちゃんと、親父たちに紹介してくれるつもりなのかなあ」
「あ、あの、まだ、具体的な話はなにもありませんから。お付き合いさせていただく様になったのは、つい最近なんです。ご挨拶は、いずれ、改めてですね。えーと」
親父、まだ店にいるかなあと続いた亮一の呟きに、明子は慌てふためいた。
(ま、待ってくださいっ)
(いきなりは、さすがに私メも焦りますから!)
明子の慌てる様子に、亮一は苦笑いしながら頭を掻いた。
「すいません。先走っちゃって。孝平にもよく叱られるんですよ、先走りするなって」
「自分のことを棚上げして、なにを言ってるんだか。変則三段跳びで、暴走するくせに」
くすりと笑う明子に、そうですよねえと、亮一も笑った。
やや改まった声で呼びかけられて、明子は気を取り直したように背筋を真っ直ぐに伸ばすと、改めて亮一と向き合った。
「はい。ごあいさつが途中のままでしたね。小杉明子です。はじめまして」
「いえいえ。悪いのはあの怒りん坊ですから。まったく。勝手に行っちゃったくせに、あのままほったらかしとくと、それはそれで拗ねますから」
遠ざかる牧野を指さして、したり顔でそう言った亮一は、明子を促して歩き出した。
「あの……、孝平とは、いつから?」
あいつ、全然、そういう話してくれないし。
水臭いよなあと、拗ねたように言う亮一は、やっぱり、どことなく牧野に似ていると明子は思った。
「前の結婚も、いきなりの話しで、詳しいことはなにも話してくれなくて。いつの間にか話が進んでて、顔を合わせたのも結納の日が初めてで。なんだか寂しかったなあ」
牧野自身が、結婚を決めるに至ったその気持ちを、家族に説明できなかったのかもしれないと、亮一の言葉に曖昧に頷きながら、明子はそんなことを考えた。
自分の家族がほしい。
自分の居場所がほしい。
その思いは、決して、亮一たちには知られたくなかったに違いない。
返してあげなきゃと思ったんだと、そう明子に語った牧野を思い出し、明子はそう思った。
「小杉さんのことは、ちゃんと、親父たちに紹介してくれるつもりなのかなあ」
「あ、あの、まだ、具体的な話はなにもありませんから。お付き合いさせていただく様になったのは、つい最近なんです。ご挨拶は、いずれ、改めてですね。えーと」
親父、まだ店にいるかなあと続いた亮一の呟きに、明子は慌てふためいた。
(ま、待ってくださいっ)
(いきなりは、さすがに私メも焦りますから!)
明子の慌てる様子に、亮一は苦笑いしながら頭を掻いた。
「すいません。先走っちゃって。孝平にもよく叱られるんですよ、先走りするなって」
「自分のことを棚上げして、なにを言ってるんだか。変則三段跳びで、暴走するくせに」
くすりと笑う明子に、そうですよねえと、亮一も笑った。