リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「普段は、孝平って呼んでいるんですか?」
牧野さんのこと。
明子の唐突な質問に、亮一は「ええ、まあ……」と答えながら、微妙な笑みを浮かべていた。
「子どものころは、お兄ちゃんとか呼んでましたけど、大人になってもお兄ちゃんはなんかこそばゆくてイヤだって言うんで。だから、黙らせたいときにお兄ちゃんと呼んで、動揺させてやるんです」
「見事に、動揺してましたねえ」
うふふと笑って、それから、世間話でもするような軽い口調で明子は言葉を続けた。
「ホントは、従兄弟同士なんですよね」
「え?」
明子の言葉に亮一の足が止まった。
何度も瞬きを繰り返しながら、亮一は明子の顔を凝視した。
明子は微笑みを浮かべた顔で、亮一と向き合った。
「ホントは、兄弟じゃなくて、従兄弟同士なんだって、話してくれました。お父さんとお母さんのことも、ホントは伯父さんと伯母さんなんだって」
明子を見つめる亮一の目に、驚愕の色が浮かんで、それが静かに安堵の色に変わっていった。
「自分で……、話したんですね、孝平」
やや震えている声で、そう問いかける亮一に、明子はしっかりと大きく一つ頷いた。
話してくれましたと、そう言葉にして答えようとした明子の耳に、人の諍う声が飛び込んできた。
「いい加減にしてくれっ 会うつもりはないっ」
「ここまで来たなら、会ってやってくれても」
明子が駆けだすより早く、亮一が「孝平っ」と声を張り上げながら、車の陰で男と言い争う牧野に駆け寄って、牧野を背で庇うようにして二人の間に割って入った。
背後の牧野に目を向けて、どうしたと問いかけているようだが、牧野はきつく唇を噛み締めて、なにも答えようとはしなかった。
牧野さんのこと。
明子の唐突な質問に、亮一は「ええ、まあ……」と答えながら、微妙な笑みを浮かべていた。
「子どものころは、お兄ちゃんとか呼んでましたけど、大人になってもお兄ちゃんはなんかこそばゆくてイヤだって言うんで。だから、黙らせたいときにお兄ちゃんと呼んで、動揺させてやるんです」
「見事に、動揺してましたねえ」
うふふと笑って、それから、世間話でもするような軽い口調で明子は言葉を続けた。
「ホントは、従兄弟同士なんですよね」
「え?」
明子の言葉に亮一の足が止まった。
何度も瞬きを繰り返しながら、亮一は明子の顔を凝視した。
明子は微笑みを浮かべた顔で、亮一と向き合った。
「ホントは、兄弟じゃなくて、従兄弟同士なんだって、話してくれました。お父さんとお母さんのことも、ホントは伯父さんと伯母さんなんだって」
明子を見つめる亮一の目に、驚愕の色が浮かんで、それが静かに安堵の色に変わっていった。
「自分で……、話したんですね、孝平」
やや震えている声で、そう問いかける亮一に、明子はしっかりと大きく一つ頷いた。
話してくれましたと、そう言葉にして答えようとした明子の耳に、人の諍う声が飛び込んできた。
「いい加減にしてくれっ 会うつもりはないっ」
「ここまで来たなら、会ってやってくれても」
明子が駆けだすより早く、亮一が「孝平っ」と声を張り上げながら、車の陰で男と言い争う牧野に駆け寄って、牧野を背で庇うようにして二人の間に割って入った。
背後の牧野に目を向けて、どうしたと問いかけているようだが、牧野はきつく唇を噛み締めて、なにも答えようとはしなかった。