リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
幼少時代の牧野が、どんな子どもだったのか。
明子には想像もつかない。
それでも、亮一たちが牧野を家族として受け入れることは、決して、容易なことではなかっただろう。
牧野にとっても、きっとそれは同じだったに違いない。
長くはないけれど、短くもない牧野との付き合いの中で知った牧野の人となりから、それくらいのことは明子にも想像がついた。
共に過ごしてきた時間が、二人の間に、血の繋がりよりももっと、強くて確かなものを築いたのだろう。
二人の姿にそんなことを思いつつ、血が繋がっていても、こんなふうに判りあえることなど今まで一度もなかった姉のことが、一瞬だけ、明子の脳裏を過って、消えた。
「土曜にでも店に行くよ。置いていてくれ。寄せ植えの準備、手伝う」
「了解。あー。あとさ。島野さんにさ。ジャスミン、どうするかを聞いといてくれよ。アレ、特注だからさ、今年も必要なら、手配しなきゃならないからさ」
「あー。そっか。そろそろ、そんな時期か」
判った、聞いておく。
亮一の言葉に納得したように頷いて、別れを告げるように手を上げて見せながら背を向けた牧野を、亮一の声がまた引き留めた。
「なんだよ?」
今度はなんだと、うんざりしたような声をあげながら、肩越しに亮一に目に向けた牧野に、亮一は悪戯じみた顔で肩をすくめて見せた。
「今日さ、あのお嬢様、お伴を連れてずっと二階のカフェに居たんだけどさ。あれ、なんだ?」
「あ?」
「夕方、五時ごろまで、二階のカフェとウチの店、行ったり来たりでウロウロしててさ。俺が店の外に出ると降りてきて、話がしたいだの何だの声を掛けてきてさ。今日はもう帰ったみたいだけどさ」
明日もいたら、アレ、どうしたらいいよ?
亮一からの突然の爆弾に、牧野だけでなく明子までもがぽかんとした顔で亮一を見て、額に手を当て肩を落とした。
明子には想像もつかない。
それでも、亮一たちが牧野を家族として受け入れることは、決して、容易なことではなかっただろう。
牧野にとっても、きっとそれは同じだったに違いない。
長くはないけれど、短くもない牧野との付き合いの中で知った牧野の人となりから、それくらいのことは明子にも想像がついた。
共に過ごしてきた時間が、二人の間に、血の繋がりよりももっと、強くて確かなものを築いたのだろう。
二人の姿にそんなことを思いつつ、血が繋がっていても、こんなふうに判りあえることなど今まで一度もなかった姉のことが、一瞬だけ、明子の脳裏を過って、消えた。
「土曜にでも店に行くよ。置いていてくれ。寄せ植えの準備、手伝う」
「了解。あー。あとさ。島野さんにさ。ジャスミン、どうするかを聞いといてくれよ。アレ、特注だからさ、今年も必要なら、手配しなきゃならないからさ」
「あー。そっか。そろそろ、そんな時期か」
判った、聞いておく。
亮一の言葉に納得したように頷いて、別れを告げるように手を上げて見せながら背を向けた牧野を、亮一の声がまた引き留めた。
「なんだよ?」
今度はなんだと、うんざりしたような声をあげながら、肩越しに亮一に目に向けた牧野に、亮一は悪戯じみた顔で肩をすくめて見せた。
「今日さ、あのお嬢様、お伴を連れてずっと二階のカフェに居たんだけどさ。あれ、なんだ?」
「あ?」
「夕方、五時ごろまで、二階のカフェとウチの店、行ったり来たりでウロウロしててさ。俺が店の外に出ると降りてきて、話がしたいだの何だの声を掛けてきてさ。今日はもう帰ったみたいだけどさ」
明日もいたら、アレ、どうしたらいいよ?
亮一からの突然の爆弾に、牧野だけでなく明子までもがぽかんとした顔で亮一を見て、額に手を当て肩を落とした。