リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「まさか、あそこで名前を聞くとは思わなかったよ、俺も」
「大人が大勢、所在不明のお嬢様はどこだと、大騒ぎしていたのに」
「なあ。いったい、なにしてたんだ、あの連中」
「さあ。その辺りはもう、詮索したくもないです。頭痛くなりそうで」
脳裡に浮かんだ美咲たちの顔に、明日もまたひと波乱ありそうな予感を覚え、明子の口からはため息しか零れない。
牧野も負けじと、盛大に息を吐きだした。
「俺もだよ。でも、探らなきゃダメだよなあ、きっと。亮一に絡んでるくらいなら構わねえけど、親父たちにまでちょっかい出してきやがったら、俺、マジでプチ切れるぞ」
「えー。亮一さんだって可哀そうですよ、あんな子たちに絡まれたら」
「そりゃあ、心配ねえ。俺よりうまくあしらうよ、あいつなら」
「まあ、牧野さんですら、手のひらで転がされてしまたしね」
「うるせっ」
面白くないことを言われて不機嫌になったと言わんばかりに顔をしかめる牧野に、明子はくすりと小さく笑った。
(これ以上突っつくと、本格的に、機嫌を損ねることになりそうだわね)
胸の中でこっそりそんなことを呟いて、明子は話題の矛先を変えた。
「そう言えば……、ジャスミンって特注とかって言ってましたけど、なんですか?」
亮一の言葉を思い出し、明子は疑問をそのまま口にした。
花にはあまり興味がない明子だが、ジャスミンの名は知っていた。
結婚式ではブーケに使いたいと思っていた花だった。
明子の問いかけに、牧野はどう説明しようかと考え込むように、うーんと短く唸った。
「鉢植えのジャスミンは、普通に出回っているけど、切り花のジャスミンって見たことないだろ?」
知っているかと窺うような牧野の口ぶりに、明子は正直に答えた。
「んー。じつはあまり花屋さんに行かないので、判りません。でも、友たちの結婚式でブーケに使われれてるの、見たことあるんです。綺麗な花だなあと思って、私もブーケに使いたいって思ったから、名前聞いて。ジャスミンだって教えてもらいました。あれ、切り花じゃないんですか?」
「ブーケで使うやつは、花だけを摘み取った状態のものなんだ。生産者のところから出荷されるときに、花だけ摘んで、一輪一輪綺麗に箱の中に詰めてくるんだよ」
「へえ。そうなんですね」
「大人が大勢、所在不明のお嬢様はどこだと、大騒ぎしていたのに」
「なあ。いったい、なにしてたんだ、あの連中」
「さあ。その辺りはもう、詮索したくもないです。頭痛くなりそうで」
脳裡に浮かんだ美咲たちの顔に、明日もまたひと波乱ありそうな予感を覚え、明子の口からはため息しか零れない。
牧野も負けじと、盛大に息を吐きだした。
「俺もだよ。でも、探らなきゃダメだよなあ、きっと。亮一に絡んでるくらいなら構わねえけど、親父たちにまでちょっかい出してきやがったら、俺、マジでプチ切れるぞ」
「えー。亮一さんだって可哀そうですよ、あんな子たちに絡まれたら」
「そりゃあ、心配ねえ。俺よりうまくあしらうよ、あいつなら」
「まあ、牧野さんですら、手のひらで転がされてしまたしね」
「うるせっ」
面白くないことを言われて不機嫌になったと言わんばかりに顔をしかめる牧野に、明子はくすりと小さく笑った。
(これ以上突っつくと、本格的に、機嫌を損ねることになりそうだわね)
胸の中でこっそりそんなことを呟いて、明子は話題の矛先を変えた。
「そう言えば……、ジャスミンって特注とかって言ってましたけど、なんですか?」
亮一の言葉を思い出し、明子は疑問をそのまま口にした。
花にはあまり興味がない明子だが、ジャスミンの名は知っていた。
結婚式ではブーケに使いたいと思っていた花だった。
明子の問いかけに、牧野はどう説明しようかと考え込むように、うーんと短く唸った。
「鉢植えのジャスミンは、普通に出回っているけど、切り花のジャスミンって見たことないだろ?」
知っているかと窺うような牧野の口ぶりに、明子は正直に答えた。
「んー。じつはあまり花屋さんに行かないので、判りません。でも、友たちの結婚式でブーケに使われれてるの、見たことあるんです。綺麗な花だなあと思って、私もブーケに使いたいって思ったから、名前聞いて。ジャスミンだって教えてもらいました。あれ、切り花じゃないんですか?」
「ブーケで使うやつは、花だけを摘み取った状態のものなんだ。生産者のところから出荷されるときに、花だけ摘んで、一輪一輪綺麗に箱の中に詰めてくるんだよ」
「へえ。そうなんですね」