リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
いつもの部屋着に着替えてソファーにごろりと寝ころぶと、瞼が急に重くなってきた。
(このまま、寝てしまうおうかしら)
入浴して冷えかけている体を温めたいと思う反面、それすらも、もう億劫でこのまま眠ってしまいたいと思う自分が、明子をうつらうつらの眠りの中へと誘っていった。
落ちた先の心地よいまどろみの中で、車中で牧野と交わした言葉が夢となって、明子の中に蘇ってきた。
『なあ』
『はい?』
『俺、昔、お前に酷いこと言ったんだって?』
『え?』
『お前の……、爺さんが倒れたとき、そんなことで仕事を放り出すのかって、お前に言ったって』
本当か?
牧野から静かな声で告げられたそんな問いかけに、明子は戸惑う。
なんと答えればいいのか、言葉が見つからなかった。
牧野がその話を誰から聞いたのかは、聞かずとも判る。
うっかりと考えもなしに彼らにそんなことを話してしまったことを、明子は今さらながらに悔やんだ。
明子の無言を肯定の意味と捉えた牧野は、小さく、一つ、息を吐きだした。
『やっぱ、俺、どっか壊れてるのかな』
ぽつりと零れ出た言葉は、暗く哀しい響きをもって、明子の胸を締め付けた。
‐そんなこと、ありません。
そう言ってあげることもできたのに、なぜか、その言葉が喉の奥で絡まって留まってしまった。
なにも言えずにいる自分と。
外を見つめたままの牧野。
そんな二人を夢で見ている明子は、泣きだしそうだった。
(このまま、寝てしまうおうかしら)
入浴して冷えかけている体を温めたいと思う反面、それすらも、もう億劫でこのまま眠ってしまいたいと思う自分が、明子をうつらうつらの眠りの中へと誘っていった。
落ちた先の心地よいまどろみの中で、車中で牧野と交わした言葉が夢となって、明子の中に蘇ってきた。
『なあ』
『はい?』
『俺、昔、お前に酷いこと言ったんだって?』
『え?』
『お前の……、爺さんが倒れたとき、そんなことで仕事を放り出すのかって、お前に言ったって』
本当か?
牧野から静かな声で告げられたそんな問いかけに、明子は戸惑う。
なんと答えればいいのか、言葉が見つからなかった。
牧野がその話を誰から聞いたのかは、聞かずとも判る。
うっかりと考えもなしに彼らにそんなことを話してしまったことを、明子は今さらながらに悔やんだ。
明子の無言を肯定の意味と捉えた牧野は、小さく、一つ、息を吐きだした。
『やっぱ、俺、どっか壊れてるのかな』
ぽつりと零れ出た言葉は、暗く哀しい響きをもって、明子の胸を締め付けた。
‐そんなこと、ありません。
そう言ってあげることもできたのに、なぜか、その言葉が喉の奥で絡まって留まってしまった。
なにも言えずにいる自分と。
外を見つめたままの牧野。
そんな二人を夢で見ている明子は、泣きだしそうだった。