リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
耳障りな物音で目覚めた明子は、自分が泣いていることに気づいて驚いた。
夢の中の自分は堪えていたはずなのに、現実の自分はその涙を堪えきれなかったらしい。
(どうして、なにも言ってあげられなかったのだろう)
頬を濡らす涙を拭いながらそんなことを考えて、すぐにその答えを明子は見つけた。
祖父のもとに駆けつけようとしたあのとき、牧野から浴びせれたあの冷たい言葉が悲しくて悔しくて、自分を拒絶するように立ち去って行った後ろ姿に唇を噛み締めた自分が、今でも消えることなく明子の胸の奥深いところにいることを、明子は気づいてしまった。
胸が塞がってしまいそうな、そんな嫌な不安が明子を襲う。
今でもまだ心に刺さったままのあのとき棘が、いつかまた、ジクジクと疼き痛み、明子と牧野を遠ざけてしまうことになったら……
沸き起こるそんな胸騒ぎにも似た不安に、明子はバカと自分を叱咤して、頬をペシャリと打ちつけた。
(今度は、もう間違えない)
(あのときみたいに、逃げたりはない)
(ちゃんと、あの人と向き合っていく)
テーブルに貼り付けてある『お守り』に明子はそっと手を置きながら、なにかを決意するかのように自分にそう言い聞かせ、そして、小さく息を吐いた。
そして、テーブルの上で、諦めることなく鳴り響き続けている明子を目覚めさせた元凶を、うんざりとした思いで眺めた。
夢の中の自分は堪えていたはずなのに、現実の自分はその涙を堪えきれなかったらしい。
(どうして、なにも言ってあげられなかったのだろう)
頬を濡らす涙を拭いながらそんなことを考えて、すぐにその答えを明子は見つけた。
祖父のもとに駆けつけようとしたあのとき、牧野から浴びせれたあの冷たい言葉が悲しくて悔しくて、自分を拒絶するように立ち去って行った後ろ姿に唇を噛み締めた自分が、今でも消えることなく明子の胸の奥深いところにいることを、明子は気づいてしまった。
胸が塞がってしまいそうな、そんな嫌な不安が明子を襲う。
今でもまだ心に刺さったままのあのとき棘が、いつかまた、ジクジクと疼き痛み、明子と牧野を遠ざけてしまうことになったら……
沸き起こるそんな胸騒ぎにも似た不安に、明子はバカと自分を叱咤して、頬をペシャリと打ちつけた。
(今度は、もう間違えない)
(あのときみたいに、逃げたりはない)
(ちゃんと、あの人と向き合っていく)
テーブルに貼り付けてある『お守り』に明子はそっと手を置きながら、なにかを決意するかのように自分にそう言い聞かせ、そして、小さく息を吐いた。
そして、テーブルの上で、諦めることなく鳴り響き続けている明子を目覚めさせた元凶を、うんざりとした思いで眺めた。