リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
心が、決まらなかった。
沼田の話を聞くほどに、この仕事への意欲も大塚と向き合う気力も、なくなっていった。
今日ここでこれを仕切っていけば、間違いなく、これから大塚と全面対決するのは、自分だ。
大塚が仕掛けて始まったこんな茶番劇に、巻き込まれるなんて真っ平だった。
それでも、大塚のやり方は許せなかった。
(こんなやり方は……、許せない)
病の床にある人の死を、舌なめずりして待っていたような、そんなやり方だけは、絶対に許せない。
生きてほしいと願う人を、あざ笑うように眺めている、そんなやり方は、絶対に許さない。
仕切ってこいと言うあの言葉も。
つぶしちまえと言うあの言葉も。
きっと、全部、牧野の本心だ。
紛れもない、彼の心加羅の声だ。
玉砕したら、骨くらいは拾ってやると言ったのだから、きっと、ホントに拾ってくれるだろう。
牧野のことだ。
その拾った骨で、笑いながら、大塚の止めを刺しにいくだろう。
ならばと、やっと明子の心が決まった。
(こうなったら玉砕覚悟で。あの人が使えと言って差し出してくれた黄門様の印籠、使って勝負してしまえ)
お荷物のお局様にだって、意地の一つくらいはまだあると、あのバカに吠えてみるのも、悪くない。
(多分)
(うん)
(それも、悪くない)
明子は、大きく一つ息を吸い込んだ。
沼田の話を聞くほどに、この仕事への意欲も大塚と向き合う気力も、なくなっていった。
今日ここでこれを仕切っていけば、間違いなく、これから大塚と全面対決するのは、自分だ。
大塚が仕掛けて始まったこんな茶番劇に、巻き込まれるなんて真っ平だった。
それでも、大塚のやり方は許せなかった。
(こんなやり方は……、許せない)
病の床にある人の死を、舌なめずりして待っていたような、そんなやり方だけは、絶対に許せない。
生きてほしいと願う人を、あざ笑うように眺めている、そんなやり方は、絶対に許さない。
仕切ってこいと言うあの言葉も。
つぶしちまえと言うあの言葉も。
きっと、全部、牧野の本心だ。
紛れもない、彼の心加羅の声だ。
玉砕したら、骨くらいは拾ってやると言ったのだから、きっと、ホントに拾ってくれるだろう。
牧野のことだ。
その拾った骨で、笑いながら、大塚の止めを刺しにいくだろう。
ならばと、やっと明子の心が決まった。
(こうなったら玉砕覚悟で。あの人が使えと言って差し出してくれた黄門様の印籠、使って勝負してしまえ)
お荷物のお局様にだって、意地の一つくらいはまだあると、あのバカに吠えてみるのも、悪くない。
(多分)
(うん)
(それも、悪くない)
明子は、大きく一つ息を吸い込んだ。