リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「牧野さんが、休日出勤されているって聞いたから、お弁当を持ってきたのよ。どちらにいらっしゃるの?」
美咲が重たそうな重箱を大事そうに抱えていることには気付いていたが、まさかお弁当じゃないわよねと思いながら、それを眺めていた明子は、美咲が発した堂々のお弁当宣言に、目を丸くするしかなかった。
「あら、なに、そのお弁当。貧相ね」
きょろきょろと、牧野の姿はないかと見回していた美咲は、明子が広げている弁当箱を見て、ふふんと笑う。
(貧相って……)
(人のお弁当の中身にまで、いちゃもん、つけないでほしいんだけど)
(さっさと、帰ってくれないかなあ)
もう、美咲たちの相手にするのも疲れ、明子は美咲に背を向けながら、牧野の不在を告げた。
美咲が重たそうな重箱を大事そうに抱えていることには気付いていたが、まさかお弁当じゃないわよねと思いながら、それを眺めていた明子は、美咲が発した堂々のお弁当宣言に、目を丸くするしかなかった。
「あら、なに、そのお弁当。貧相ね」
きょろきょろと、牧野の姿はないかと見回していた美咲は、明子が広げている弁当箱を見て、ふふんと笑う。
(貧相って……)
(人のお弁当の中身にまで、いちゃもん、つけないでほしいんだけど)
(さっさと、帰ってくれないかなあ)
もう、美咲たちの相手にするのも疲れ、明子は美咲に背を向けながら、牧野の不在を告げた。