リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ほれ。糖分補給だ。午前中、脳みそフル回転で疲れたろ」
半分拗ねている怒り顔で、明子は手渡された袋を覗く。
そこには、生クリームやフルーツが盛られたプリンが入っていた。
「あら。玉子焼きがプリンに変身」
大好きなおやつを貰ってはしゃぐ幼子の顔で、やったと声を上げて喜ぶ明子の顔に、牧野の目はさらに細くなった。
その笑顔のまま振り返った牧野は、そこで顔をひきつらせて立ち尽くしている者の存在に、やれやれとため息を吐いた。
「まだ、いたんですか? 帰ってください」
牧野の言葉に、明子はしまったと額に手を当てうなだれた。
牧野の手のひらの温もりに。
からかい混じりの優しい声に。
うかれまくって、その存在を失念していた。
(お嬢様、まだいらしたんですね)
美咲にとっては、今のこの光景は目を吊り上げたくなるものだろう。
そう思ったら、とても怖くて、背後にいる彼女の顔など拝めなかった。
(牧野さんっ)
(けっきょく、また、私を窮地に追い込んだでしょっ)
(もう、そのお嬢様退治に利用しないでっ)
明子の胸の奥に潜んでいる、小さな小さな恋心まで、牧野に見透かされているようで、明子は少しだけ泣きたくなった。
半分拗ねている怒り顔で、明子は手渡された袋を覗く。
そこには、生クリームやフルーツが盛られたプリンが入っていた。
「あら。玉子焼きがプリンに変身」
大好きなおやつを貰ってはしゃぐ幼子の顔で、やったと声を上げて喜ぶ明子の顔に、牧野の目はさらに細くなった。
その笑顔のまま振り返った牧野は、そこで顔をひきつらせて立ち尽くしている者の存在に、やれやれとため息を吐いた。
「まだ、いたんですか? 帰ってください」
牧野の言葉に、明子はしまったと額に手を当てうなだれた。
牧野の手のひらの温もりに。
からかい混じりの優しい声に。
うかれまくって、その存在を失念していた。
(お嬢様、まだいらしたんですね)
美咲にとっては、今のこの光景は目を吊り上げたくなるものだろう。
そう思ったら、とても怖くて、背後にいる彼女の顔など拝めなかった。
(牧野さんっ)
(けっきょく、また、私を窮地に追い込んだでしょっ)
(もう、そのお嬢様退治に利用しないでっ)
明子の胸の奥に潜んでいる、小さな小さな恋心まで、牧野に見透かされているようで、明子は少しだけ泣きたくなった。