リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「俺たちのやってる上流フェーズの作業って、開発作業っていうより、コンサルティングに近いだろ?」
「まあ。そうですね」
「事業として、切り離そうかって構想がさ、前々からあったんだよ」
「へえ」
「上流フェーズの作業を、コンサルティング事業として独立させてみようかってな。最近、新規の顧客の獲得が難航してるだろ」
「数字を見る限りでは、そうなりますね」
「システム導入を検討している企業に足を運んで提案しても、なかなか結果に繋がらない。今は、抱えている顧客が離れないようにするのが精一杯っていうのが、正直なところだと思う。だからな、新規顧客の開拓ができるコンサルSEの育成が、ここ最近は、必ず会議で挙がる課題になってる」
「はあ」

それが、いったい自分になんの関係があるのだろうというように、眉間に縦皺を寄せている明子を見て、にぶいやつだなあと牧野は苦笑する。

「これは、俺の予想だけどな。お前にその適正があるかどうか、本部長自身が確かめに行ったんだと思うぞ」

白羽の矢、立てられてんだよ、お前。
キムパッをおいしそうに頬張りながら告げられた牧野の言葉に、明子は狐につままれたような顔をするしかなかった。
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