リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
窓の向こうに、夕闇が迫っていた。
かなり早い夕飯を、缶ビールつきで牧野は始めていた。
晩酌のツマミに寄越せと、漬けマグロとホタテの刺身も、明子から強奪してきた。
お腹を空かせているようなら、作ってやろうかと思って買ってきたという、しょうが焼き用の肉を見て、作れ作れ、夕飯に食うから作れと、強請りまくって作らせた。
それもしっかり電子レンジで温め直して、食卓に並べた。
『もう。人使い荒いんだから』
そう言いながら剥れている顔が、それでも嬉しそうに見えたのは、ただの錯覚でなければいいなと、そんなことを思いながら、牧野は明子の手料理を食べていた。
(ああ。そうだ)
(盗み食いしたあいつの弁当が美味くて、それで気に入ったんだ、あいつのこと)
かつて、ともに仕事をしていたころ。
徹夜明けで机に突っ伏し寝ていたら、明子が出社してきた。
机に小さなバックと弁当を置いて、コーヒーを淹れるため席を外した隙に、鳴り出した腹の虫をどうすることもできず、勝手に弁当を開けて食ったことがあった。
かなり早い夕飯を、缶ビールつきで牧野は始めていた。
晩酌のツマミに寄越せと、漬けマグロとホタテの刺身も、明子から強奪してきた。
お腹を空かせているようなら、作ってやろうかと思って買ってきたという、しょうが焼き用の肉を見て、作れ作れ、夕飯に食うから作れと、強請りまくって作らせた。
それもしっかり電子レンジで温め直して、食卓に並べた。
『もう。人使い荒いんだから』
そう言いながら剥れている顔が、それでも嬉しそうに見えたのは、ただの錯覚でなければいいなと、そんなことを思いながら、牧野は明子の手料理を食べていた。
(ああ。そうだ)
(盗み食いしたあいつの弁当が美味くて、それで気に入ったんだ、あいつのこと)
かつて、ともに仕事をしていたころ。
徹夜明けで机に突っ伏し寝ていたら、明子が出社してきた。
机に小さなバックと弁当を置いて、コーヒーを淹れるため席を外した隙に、鳴り出した腹の虫をどうすることもできず、勝手に弁当を開けて食ったことがあった。