リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「労務の観点から言うと、制服に着替える時間は労働時間とするかどうか、判定に迷うグレーゾーンなの。だから、私服にしていたほうが楽なのよ。着替える時間を考慮する必要がないから」
本来は、そのための私服なのよ。
まあ、他にもいろいろあるけど、この際、そんなことはどうでもいいしと、明子は身支度に時間をかけないことを美咲の攻略ポイントと定めて話を進めた。
「なのに、制服を着用させることを要求しなければならないほど、今のあなたたちがやっていることはね、度が過ぎてるのよ。勤務時間になっても仕事もしないで、身支度に三十分でも一時間でも、好きなだけ時間かけるなんて」
あなた、取締役のお嬢様でしょ。よく考えて。
先ほどまでの勢いがなくなった美咲に、明子はゆっくりと諭し続ける。
「本来、働いてもらわなきゃならない時間に、いつまでもお化粧して、鑑を見て、着飾って。喫煙室では、ずっとタバコを吸っていて。休憩室では、ずっと喋っていて。その時間も労働時間と見なしてもらって、お給料を払ってもらって。社員全員が、今のあなたたちを見習ってそんなふうになったら、この会社はどうなると思うの?」
経営者の娘だって看板を背負って、ここにいるなら、それが会社にとって、プラスかマイナスかくらい考えなさい。
幾分、冷静になった頭では、明子の正論を屁理屈と言うこともできなくなったらしい。
自分の言い分を認めてもらえないことに、口を小さく尖らせた美咲は、拗ねた子どものような顔をして、明子の前にいるだけだった。
その様子に、本当に子どもが会社にいるのねと、明子は肩を落としてため息を吐き出したくなったが、辛うじてそれを堪えた。
本来は、そのための私服なのよ。
まあ、他にもいろいろあるけど、この際、そんなことはどうでもいいしと、明子は身支度に時間をかけないことを美咲の攻略ポイントと定めて話を進めた。
「なのに、制服を着用させることを要求しなければならないほど、今のあなたたちがやっていることはね、度が過ぎてるのよ。勤務時間になっても仕事もしないで、身支度に三十分でも一時間でも、好きなだけ時間かけるなんて」
あなた、取締役のお嬢様でしょ。よく考えて。
先ほどまでの勢いがなくなった美咲に、明子はゆっくりと諭し続ける。
「本来、働いてもらわなきゃならない時間に、いつまでもお化粧して、鑑を見て、着飾って。喫煙室では、ずっとタバコを吸っていて。休憩室では、ずっと喋っていて。その時間も労働時間と見なしてもらって、お給料を払ってもらって。社員全員が、今のあなたたちを見習ってそんなふうになったら、この会社はどうなると思うの?」
経営者の娘だって看板を背負って、ここにいるなら、それが会社にとって、プラスかマイナスかくらい考えなさい。
幾分、冷静になった頭では、明子の正論を屁理屈と言うこともできなくなったらしい。
自分の言い分を認めてもらえないことに、口を小さく尖らせた美咲は、拗ねた子どものような顔をして、明子の前にいるだけだった。
その様子に、本当に子どもが会社にいるのねと、明子は肩を落としてため息を吐き出したくなったが、辛うじてそれを堪えた。