リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「吉田係長と坂下は、社に戻すことになってな」

なるほど、それで三人かと頷きつつも、なんか嫌なことにならなきゃいいなあと、先ほどのことを思い出した明子は、やや気が重くなった。


(これ以上、あの子たちにも、吉田さんにも、変に絡まれたくないなあ)


思わず、眉間に皺が寄った。
さっきの美咲の言葉を思い出した。


-私たちの仕事にケチつけて


吉田は判らないけれど、坂下もそのメンバーだろう。
これから明子が提出する報告書に、どんな反応をするか。
それを考えるだけで、うんざりしてきた。
彼らが、殊勝に反省するとは思えなかった。

明子の目をのぞき込んでいる君島は、大丈夫だというように笑い、明子の眉間を人差し指で宥めるように撫でた。

「で、当面、俺もタイヤ屋を優先したいんでな、その間、申し訳ないが、野木のサポートを頼む」
「サポート?」

はて、と首を傾げる明子に、君島が笑う。
まだ要領を得ない顔で君島を見ている明子に、君島はにやりと笑って見せた。

「先方が、喧嘩上等で乗り込んできた、あの勇ましい姉ちゃんも寄越してくれと言うんでな。まあ、暴走しないように睨んでてくれ」
「はあ?!」

いや、ちょっと待って。君島さん。
明子は目をパチパチとさせ、勘弁してくださいよと頬を膨らませる。
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