リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
安藤が明子に気付き、顔をひきつらせた。
明子がここにいるということは、君島や野木も会議室から出てきているということだ。どうやら、それに気付いたらしい。
明子を忌々しそうに睨みながらも、足早に立ち去っていく。
(なんで、こういう場面に、出くわしちゃうなあ)
(面倒くさい)
(でも、森口さんの加勢しなきゃねえ)
(チケット譲ったの、あたしだしね)
(というかね。せめて今日くらい、殊勝に仕事をしてくれないかなあ。この子たち)
明子は息を吸い込んで、足を踏み出した。
「悪かったわね。おひとりさまで。それがなんだって言うのよ。チケット一枚しか取らなかったのは、私だもの。言いたいことあるなら、私に言ってくれるかな」
まあ、群れてなきゃ何もできないお子さまに、とやかく言われる筋合いないけどねと、明子は彼女たちを睨みつける。
「あなたたちも、仕事に戻りなさい。散々、絞られたんでしょう。まだ足りないの?」
「そんな気が強いから、男も近寄らねえんだよ、お前ら」
坂下の言葉に、香里と沙紀は癇に障る甲高い笑い声をあげる。
幸恵は下を向いて俯きながらも、立ち上がろうとはしなかった。
美咲は興味なさそうに携帯電話を弄っていたが、明子が誰かの湯飲みを持っているのをみて、すかさず、それは誰のものかと明子を問いつめてきた。
君島のものだと答えると、すぐに興味はなくなったらしい。
あと二人いる女子社員は、顔は記憶にあるけれど、名前は思い出せなかった。
明子がここにいるということは、君島や野木も会議室から出てきているということだ。どうやら、それに気付いたらしい。
明子を忌々しそうに睨みながらも、足早に立ち去っていく。
(なんで、こういう場面に、出くわしちゃうなあ)
(面倒くさい)
(でも、森口さんの加勢しなきゃねえ)
(チケット譲ったの、あたしだしね)
(というかね。せめて今日くらい、殊勝に仕事をしてくれないかなあ。この子たち)
明子は息を吸い込んで、足を踏み出した。
「悪かったわね。おひとりさまで。それがなんだって言うのよ。チケット一枚しか取らなかったのは、私だもの。言いたいことあるなら、私に言ってくれるかな」
まあ、群れてなきゃ何もできないお子さまに、とやかく言われる筋合いないけどねと、明子は彼女たちを睨みつける。
「あなたたちも、仕事に戻りなさい。散々、絞られたんでしょう。まだ足りないの?」
「そんな気が強いから、男も近寄らねえんだよ、お前ら」
坂下の言葉に、香里と沙紀は癇に障る甲高い笑い声をあげる。
幸恵は下を向いて俯きながらも、立ち上がろうとはしなかった。
美咲は興味なさそうに携帯電話を弄っていたが、明子が誰かの湯飲みを持っているのをみて、すかさず、それは誰のものかと明子を問いつめてきた。
君島のものだと答えると、すぐに興味はなくなったらしい。
あと二人いる女子社員は、顔は記憶にあるけれど、名前は思い出せなかった。