リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「プレビュー画面で確認してから印刷するまで、途中で電話が入ったりなんだりで、三十分くらい、プレビュー画面のまま放置していたそうなんですよ」
「うん」
「あれって、メニュー画面に戻るまでは、関連データの追加更新は出来ないように、ロック情報テーブルにフラグ立てて、排他制御してますよね」
「してるな」
「でも、ロック情報って、隠し機能で強制ロック解除できますよね」
「おう」
「事業参加登録とかの処理している方って、まあ、名前は伏せますが、いつもおやつを沢山くださるんで、お名前は伏せさせて頂きますが、強制ロック解除、大好きじゃないですか」

聞き耳を立てていた木村が「あちゃー」と呻くような声で言いながら、明子から貰った最新データを調べ出した。
牧野の顔にも、なんとも言えない微妙な笑みが浮かび、額を押さえていた。
明子はしたり顔で話を続ける。

「登録しようとして、誰かがなんかの処理中でテーブルロックかけてたりすると、なにをしている聞きもしないでロック解除しちゃうじゃないですか」
「だな」
「三十分の間に、事業参加の申し込みだの取り消しだの電話があったら、どうなるかなーって。処理記録を見て、その場で確かめようかなあとも思ったんですけど、万が一にもそんな事実が発覚したら、長谷部さん、また怒り出して、ケンカになるなあと」
「だろうな」
「それを止めるのも大変だから、とりあえず、貰ったデータを会社で調べればいいやって、調べてはいないんですけど」
「主任っ 印刷した時間って、三時ごろですよね?」

処理記録情報を見ながら、木村は明子にそう尋ね返す。

「長谷部さんはそう思うって。江口さんがお茶を淹れてきて、あ、まだ印刷していないって気がついたって」
「なら、三時ですね。間違いなく三時ですね。おやつの時間には正確ですから、あの人」
「こら、木村」

木村の言葉に、川田はそれを窘めつつも「まあ、事実だけどな」と同意も示し笑った。
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