リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
美咲たちの姿はなかった。
新藤や坂下の姿もない。
戻ってきていないのか。
どこかに呼ばれているのか。
(そういえば……)
(社内システムの再改修、今日から始めているんだっけ?)
そんなことを考えながら、明子は幸恵の様子を見守った。
「一から十まで、全部、人に聞かなきゃなにもできないって、おかしいだろ。昨日今日入った新人じゃないんだからさ」
「でも、教えてくれなきゃ、判らないし」
「なにが? なにが、どう判らないのか、それを教えてくれ」
幸恵はちらりちらりと、沼田に助けを求めるような視線を投げていた。
けれど、沼田はそんな視線などには全く気づいていないように、キーボードを叩いていた。
「なあ。もう少し、自分で考えて仕事してくれって言ってるだけだぞ? そんなに難しいこと言ってるか、俺?」
深呼吸を一つして喋りだした野木の口調は、どこまでも静かだった。
静かに、考えてくれとそう言っていた。
ただそれだけのことなのに。
幸恵は、もう泣きそうな顔になっていた。
その気配に、野木が勘弁してくれという顔で、ため息をついていた。
「原田さん。泣くなら、せめて自分の席に戻りなさい。そんなところで、あなたにメソメソされてしまったら、野木主任が仕事ならないでしょ」
幸恵が涙を浮かべる前に、明子は幸恵にそう声をかけた。
どうせ、もう、イヤなお局様なのだから、きついことでもなんでも言ってしまえと、明子は開き直った。
新藤や坂下の姿もない。
戻ってきていないのか。
どこかに呼ばれているのか。
(そういえば……)
(社内システムの再改修、今日から始めているんだっけ?)
そんなことを考えながら、明子は幸恵の様子を見守った。
「一から十まで、全部、人に聞かなきゃなにもできないって、おかしいだろ。昨日今日入った新人じゃないんだからさ」
「でも、教えてくれなきゃ、判らないし」
「なにが? なにが、どう判らないのか、それを教えてくれ」
幸恵はちらりちらりと、沼田に助けを求めるような視線を投げていた。
けれど、沼田はそんな視線などには全く気づいていないように、キーボードを叩いていた。
「なあ。もう少し、自分で考えて仕事してくれって言ってるだけだぞ? そんなに難しいこと言ってるか、俺?」
深呼吸を一つして喋りだした野木の口調は、どこまでも静かだった。
静かに、考えてくれとそう言っていた。
ただそれだけのことなのに。
幸恵は、もう泣きそうな顔になっていた。
その気配に、野木が勘弁してくれという顔で、ため息をついていた。
「原田さん。泣くなら、せめて自分の席に戻りなさい。そんなところで、あなたにメソメソされてしまったら、野木主任が仕事ならないでしょ」
幸恵が涙を浮かべる前に、明子は幸恵にそう声をかけた。
どうせ、もう、イヤなお局様なのだから、きついことでもなんでも言ってしまえと、明子は開き直った。