リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「そんなこと言って、毎日お忙しい課長さんが、定時であがれるんですか?」
つんつんとした声で明子がそう尋ねると「見舞いに行ったら、俺はまた会社に戻るし」と、なんでもないことのように牧野は言ってのけた。
「課長。少し休んでくださいよ。働きすぎですよ」
その言葉を聞いた小林は、まだ働く気かと、半分呆れたような目で牧野を見ていた。
「さすがに、今日は帰って寝ますよ」
小林の心配に、牧野は苦笑いする。
「大学病院まで行ったら、家の方が近いだろ。明日もそのまま帰って休めよ」
「仕事が片付けば、帰りますよ。まあ、一晩寝れば、まだなんとか復活しますから、俺は。でも、今日は定時であがりてえなあ」
「俺も今日はきつい。気ぃ抜くと、寝ちまいそうだ。明日も、徹夜のツケは残りそうだなあ」
「私も、定時で帰りたい」
行儀悪く、箸の先を齧ったままぼそりとそう呟いた明子に「帰ればいいだろう」と小林は言う。その言葉に、明子は拗ねたように言い募った。
「ムリですよ。いきなり、ヘンな仕事がまた増えてるんですもん。明日だって、定時であがれるかどうか判りませんよ。もしかしたら、定時過ぎなきゃ、仕事にならないかもしれないし」
いつまでも続く明子の愚痴に、牧野がやや苛立ったような声を上げた。
「うるせえなあ。仕方ねえだろ。ああでも言わなきゃ、野木がまいっちまうだろうが。あんな訳の判らねえのに、駄々捏ねられ続けてたら」
ぷちんと、牧野のその言葉で、明子の中の何かが切れた。
「そうですねっ 野木主任がまいってしまったら、大事ですもんねっ 私ごときがまいろうがへたばろうが、そんなことは大したこと、ありませんもんねっ」
牧野に毒づくように、そんなことを言っているうちに、もう食事をする気力すらなくなり、明子は箸を置いた。
(なんで……)
(いつも、そうやって、いやな仕事ばっかり押し付けるの)
(牧野さんのバカ)
(バカバカバカバカバカバカバカ)
怒りのマグマが、小爆発を始めだした。
つんつんとした声で明子がそう尋ねると「見舞いに行ったら、俺はまた会社に戻るし」と、なんでもないことのように牧野は言ってのけた。
「課長。少し休んでくださいよ。働きすぎですよ」
その言葉を聞いた小林は、まだ働く気かと、半分呆れたような目で牧野を見ていた。
「さすがに、今日は帰って寝ますよ」
小林の心配に、牧野は苦笑いする。
「大学病院まで行ったら、家の方が近いだろ。明日もそのまま帰って休めよ」
「仕事が片付けば、帰りますよ。まあ、一晩寝れば、まだなんとか復活しますから、俺は。でも、今日は定時であがりてえなあ」
「俺も今日はきつい。気ぃ抜くと、寝ちまいそうだ。明日も、徹夜のツケは残りそうだなあ」
「私も、定時で帰りたい」
行儀悪く、箸の先を齧ったままぼそりとそう呟いた明子に「帰ればいいだろう」と小林は言う。その言葉に、明子は拗ねたように言い募った。
「ムリですよ。いきなり、ヘンな仕事がまた増えてるんですもん。明日だって、定時であがれるかどうか判りませんよ。もしかしたら、定時過ぎなきゃ、仕事にならないかもしれないし」
いつまでも続く明子の愚痴に、牧野がやや苛立ったような声を上げた。
「うるせえなあ。仕方ねえだろ。ああでも言わなきゃ、野木がまいっちまうだろうが。あんな訳の判らねえのに、駄々捏ねられ続けてたら」
ぷちんと、牧野のその言葉で、明子の中の何かが切れた。
「そうですねっ 野木主任がまいってしまったら、大事ですもんねっ 私ごときがまいろうがへたばろうが、そんなことは大したこと、ありませんもんねっ」
牧野に毒づくように、そんなことを言っているうちに、もう食事をする気力すらなくなり、明子は箸を置いた。
(なんで……)
(いつも、そうやって、いやな仕事ばっかり押し付けるの)
(牧野さんのバカ)
(バカバカバカバカバカバカバカ)
怒りのマグマが、小爆発を始めだした。