リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「牧野さんが、ヘンな仕事ばっかり押しつけるから。それで頭にきたときに言うんです。牧野さんのバカ、大嫌い。もう、どっかに行っちゃえって。いなくなれって」
明子が淹れてきてくれた茶を飲みながら、面白そうに明子に言葉を聞いていた小林は、その言葉を聞いて、僅かに頬をひくつかせてやや顔色を変えた。
横目でちらりと眺めた牧野の顔は、色をなくしているようだったが、明子にはそれが判っていないようだった。
「だから、お仕事を片付ける最強呪文なんかじゃないですよ。牧野さんを追い払って近寄らせないバリア張るための呪文です」
判っていただけましたかと軽い口調で言い、ぷっくりとわざとらしく頬を丸くした明子に「判ったけどよ。判ったらな、パパは胃が痛くなってきたよ」と、小林は乾いた声で笑った。
「原田さんとか、坂下くんとか。井上さんたちと一緒になってふざけている子たち、今のままだったらどうなるんですか?」
牧野の変化にまったく気づいていない明子は、考え込むような顔で牧野に声をかけた。
「……、よそに異動か、本人に言い含めて辞表出させるかだろうな。もう、そういう話がな、ちらほら出でいるんだよ。まあ、当然だけどな。出ねえほうがおかしいしな」
一瞬、ごくりと息を飲み込んで、それから努めて普通の声で、牧野は明子のその問いかけに答えを返した。
「本人たち、それ、知っているんですか?」
「原田や坂下、安藤に関して言えば、君島課長から、それとなく、それっぽいことは言われているはずだ。本人がそれをどう受け止めているかは判らないけどな。言われているんだろ、それっぽいことを」
牧野の目に捕らえられた沼田は、小さくだがしっかりと頷いた。
「何度か、注意はされているはずです。今のままだと、システム部に残ることは難しくなるぞって」
沼田が呆れ返りながら、幸恵に言った言葉を明子は思い出した。
恵美が君島からの伝言だと言って幸恵に伝えた言葉も、幸恵を見限ったような言葉だった。
その事実に、明子は重いため息を吐いた。
明子が淹れてきてくれた茶を飲みながら、面白そうに明子に言葉を聞いていた小林は、その言葉を聞いて、僅かに頬をひくつかせてやや顔色を変えた。
横目でちらりと眺めた牧野の顔は、色をなくしているようだったが、明子にはそれが判っていないようだった。
「だから、お仕事を片付ける最強呪文なんかじゃないですよ。牧野さんを追い払って近寄らせないバリア張るための呪文です」
判っていただけましたかと軽い口調で言い、ぷっくりとわざとらしく頬を丸くした明子に「判ったけどよ。判ったらな、パパは胃が痛くなってきたよ」と、小林は乾いた声で笑った。
「原田さんとか、坂下くんとか。井上さんたちと一緒になってふざけている子たち、今のままだったらどうなるんですか?」
牧野の変化にまったく気づいていない明子は、考え込むような顔で牧野に声をかけた。
「……、よそに異動か、本人に言い含めて辞表出させるかだろうな。もう、そういう話がな、ちらほら出でいるんだよ。まあ、当然だけどな。出ねえほうがおかしいしな」
一瞬、ごくりと息を飲み込んで、それから努めて普通の声で、牧野は明子のその問いかけに答えを返した。
「本人たち、それ、知っているんですか?」
「原田や坂下、安藤に関して言えば、君島課長から、それとなく、それっぽいことは言われているはずだ。本人がそれをどう受け止めているかは判らないけどな。言われているんだろ、それっぽいことを」
牧野の目に捕らえられた沼田は、小さくだがしっかりと頷いた。
「何度か、注意はされているはずです。今のままだと、システム部に残ることは難しくなるぞって」
沼田が呆れ返りながら、幸恵に言った言葉を明子は思い出した。
恵美が君島からの伝言だと言って幸恵に伝えた言葉も、幸恵を見限ったような言葉だった。
その事実に、明子は重いため息を吐いた。