リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「安全日だからだの、ピル飲んでるからだの言って、中だ…、避妊しなくてもいいなんて言うような女、ぜったいに信用すなよ。そんなのは、ほぼ、妊娠を狙ってるからな」

さすがに、隣にいる明子がいる状況で露骨な表現はまずいと思ったのか、慌てて言いつくろう小林に、明子は別にいいですよと苦笑するしかなかった。

「あの連中じゃ、結婚するためなら、無かった事実まであったことにして、押し切りかねないかなら。油断するなよ」

どちらかと言えば、今どきの草食系と呼ばれる男子に属している木村や沼田は、小林から聞かされた生々しい話に、げんなりとした顔で脱力していた。

「なんだかなあ。普通、女の子のほうが現実的で、先の生活のこととか、ちゃんと考えてるんだなあと思ってましたよ、僕。今どき、夫の給料だけで遊んで暮らしたいと思ってるなら、それこそ、三十代、四十代の独身男を狙えって話しじゃないですかね」

僕ら世代に、そんな稼ぎを期待すんなって。
木村が気持ちを切り替えるように、そんなことを愚痴るようにため息とともに零した。

「まあ、いい見本が身近にいないから、余計、結婚した後も働くなんて真っ平と思うのかもしれないけど。あの子たち」
「園田とかいるだろうよ」

小林が、仕事と家庭を両立しているいい見本だろ、幸せそうだしと言葉を続けたが、牧野が思い出したように、その園田の進退を口にした。

「そう言えば、園田さんは年内で退職だったな」
「そうなのか?」
「らしいですよ。詳しくは聞いてませんけど。今日、そんな話を聞きましたよ」

驚く小林に、明子も牧野の言葉を肯定するように頷いた。
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