リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「原田さん」
その背を明子は呼び止めた。
「これからは、なにかを聞きに来るときは、必ずメモ帳とペンを持ってきなさい。これをあなたに言うの、それで三度目よ。新人の子たちだって、こんなこと、一度言われればできるわよ。原田さんも入社したばかりのころにそう教えられたでしょう。それから、質疑はまずQA表にあげてください」
「だったら、そのQA表の書き方も教えてください。教わってないことできません」
「なにが判らないのか、判らないことを文章にして、書いてくれればいいのよ」
「それが判らないから」
「なにが?」
なにが判らないのと、決して声は荒げず、明子は幸恵に問い掛け続けた。
そんな明子に対して、幸恵は焦れたように苛立ち始めていた。
「判りません。判らないものは判らないです」
「だったら、まずは考えなさい。自分はなにが判らずに困っているのか、それをちゃんと考えてください。判らないことはあっていいわ。でも、判らないことが判らないじゃ、話しにもならないでょ? なにが判らないのかが判れば、QA表になにを書けばいいのかは、自然と判るわ」
まずは考えなさいと、きっぱりと言い置き、明子は幸恵に背を向けて、自分の仕事に取り掛かり始めた。
幸恵は、そんな明子にまたきつく唇を噛み締めて、怒りも顕な足取りで席に戻ると、そのまま部屋から出て行った。
その背を明子は呼び止めた。
「これからは、なにかを聞きに来るときは、必ずメモ帳とペンを持ってきなさい。これをあなたに言うの、それで三度目よ。新人の子たちだって、こんなこと、一度言われればできるわよ。原田さんも入社したばかりのころにそう教えられたでしょう。それから、質疑はまずQA表にあげてください」
「だったら、そのQA表の書き方も教えてください。教わってないことできません」
「なにが判らないのか、判らないことを文章にして、書いてくれればいいのよ」
「それが判らないから」
「なにが?」
なにが判らないのと、決して声は荒げず、明子は幸恵に問い掛け続けた。
そんな明子に対して、幸恵は焦れたように苛立ち始めていた。
「判りません。判らないものは判らないです」
「だったら、まずは考えなさい。自分はなにが判らずに困っているのか、それをちゃんと考えてください。判らないことはあっていいわ。でも、判らないことが判らないじゃ、話しにもならないでょ? なにが判らないのかが判れば、QA表になにを書けばいいのかは、自然と判るわ」
まずは考えなさいと、きっぱりと言い置き、明子は幸恵に背を向けて、自分の仕事に取り掛かり始めた。
幸恵は、そんな明子にまたきつく唇を噛み締めて、怒りも顕な足取りで席に戻ると、そのまま部屋から出て行った。