リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「やめろとは言わねえよ。けど、マジで、少し控えろよ」
「吸わないときは、全然、吸わないんですけどね。なにか、イラっとしちまうと」
「朝っぱらから、なににそんなイラっとしてるってんだ。眠いのはこっちも一緒だからな」
じろりと睨む小林に「朝から、ちと、嫌な電話が……」と、牧野はぼそぼそした声で答えた。
「電話?」
「家の電話に留守電が入ってて、うっかり聞いちまって」
牧野のその言いように、君島は笑った。
「うっかりってな。留守電が入ってれば、普通、聞くもんだろ」
「ちと、イヤにやつに番号がバレちまって。聞く前に、最近は必ず、番号確認していてるんですけど、さすがに、今日はそこまで頭が回らなくて。で、うっかりとですね、再生ボタンをポチっとしちまいまして」
失敗しましたと言いながら鼻の頭を掻く牧野に「イヤな奴?」「誰だよ?」と、君島と小林が訝しむような表情で牧野を見つめた。
牧野は、一呼吸分どうしたものかと考えて、口火を切った。
誰かに聞いて貰いたいという気持ちが、わずかではあったが牧野の中にあった。
「なんか、今、……母親、と、一緒に暮らしているっつう男みたいです。母親のことで、なんだか電話してきて」
淡々とした声で牧野から告げられた事実に、君島と小林の顔色がやや変わった。
「なにだって言ってきたんだ、その男」
「つうか。いつからだよ、そんなことになってたの?」
二方向から伸びてきた腕に頭を小突かれそうになり、牧野は煩そうにそれを払い除けた。
「ここ二ヶ月くらいですかね。どうやって調べたんだか、家に電話があって。最初、間違え電話かと思ったら、俺の昔の名前とか出して、なんか母親のこととか喋りだして」
淡々と、まるで興味のない下らない世間話でもしているようにそんな話しをする牧野に、君島は小さく息を吐き、小林は肩を竦めた。
「吸わないときは、全然、吸わないんですけどね。なにか、イラっとしちまうと」
「朝っぱらから、なににそんなイラっとしてるってんだ。眠いのはこっちも一緒だからな」
じろりと睨む小林に「朝から、ちと、嫌な電話が……」と、牧野はぼそぼそした声で答えた。
「電話?」
「家の電話に留守電が入ってて、うっかり聞いちまって」
牧野のその言いように、君島は笑った。
「うっかりってな。留守電が入ってれば、普通、聞くもんだろ」
「ちと、イヤにやつに番号がバレちまって。聞く前に、最近は必ず、番号確認していてるんですけど、さすがに、今日はそこまで頭が回らなくて。で、うっかりとですね、再生ボタンをポチっとしちまいまして」
失敗しましたと言いながら鼻の頭を掻く牧野に「イヤな奴?」「誰だよ?」と、君島と小林が訝しむような表情で牧野を見つめた。
牧野は、一呼吸分どうしたものかと考えて、口火を切った。
誰かに聞いて貰いたいという気持ちが、わずかではあったが牧野の中にあった。
「なんか、今、……母親、と、一緒に暮らしているっつう男みたいです。母親のことで、なんだか電話してきて」
淡々とした声で牧野から告げられた事実に、君島と小林の顔色がやや変わった。
「なにだって言ってきたんだ、その男」
「つうか。いつからだよ、そんなことになってたの?」
二方向から伸びてきた腕に頭を小突かれそうになり、牧野は煩そうにそれを払い除けた。
「ここ二ヶ月くらいですかね。どうやって調べたんだか、家に電話があって。最初、間違え電話かと思ったら、俺の昔の名前とか出して、なんか母親のこととか喋りだして」
淡々と、まるで興味のない下らない世間話でもしているようにそんな話しをする牧野に、君島は小さく息を吐き、小林は肩を竦めた。