リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
さすがに、深夜の時間帯になると、ヒーターを入れて、少し部屋を温めないと肌寒い。
お風呂が湧くまで、少し時間がかかる。
明子は、部屋着用のスウェットに着替えた。
もう二年以上来ているグレーのそれは、生地がクテクテになっているが、そのくたびれた感じがのんびりできて、捨てることができなかった。
ソファーに、ごろりとだらしなく横たわる。
(人には見せられない、だらけっぷりよね)
(仕方ないわよね)
(お仕事マンにも、くだくだになれる休憩は、必要なのよー)
一日中、ヒールのある靴を履いた足をバタバタさせて、爪先を曲げたり伸ばしたりしていると、左の親指がつりそうになって、慌てた。
(おいおい。どんだけ疲れてんのよ、あたしの足)
(まだ、火曜日なんですけど?)
(今日の午後なんて、ほぼ、座っていただけですよ?)
情けないなあと苦笑しながら、牧野に握り締められた左手を、右手で包むように摩る。
明子に向けてくれた、穏やかな、とても穏やかな、牧野のあの顔が、閉じた瞼の裏に浮かぶ。
耳に優しかったありがとうの言葉と、少しぶっきらぼうに言ってくれた心配だという言葉が、心を温かくした。
抱きしめてくれた温もりを思い出すと、体が自然と火照った。
そんな余韻に浸っていると、また、空腹を訴えてきたお腹に、明子は息を吐いた。
あと四十分ほどで、日付が変わろうという時間だった。
(あのさあ。お腹の虫さん)
(こんな時間に、なにを食べたいっていうのよ。もう)
自分に腹具合を尋ねて、けっきょく、夜はお煎餅以外なにも食べていなかったことを、明子は今さらながらに思い出した。
お風呂が湧くまで、少し時間がかかる。
明子は、部屋着用のスウェットに着替えた。
もう二年以上来ているグレーのそれは、生地がクテクテになっているが、そのくたびれた感じがのんびりできて、捨てることができなかった。
ソファーに、ごろりとだらしなく横たわる。
(人には見せられない、だらけっぷりよね)
(仕方ないわよね)
(お仕事マンにも、くだくだになれる休憩は、必要なのよー)
一日中、ヒールのある靴を履いた足をバタバタさせて、爪先を曲げたり伸ばしたりしていると、左の親指がつりそうになって、慌てた。
(おいおい。どんだけ疲れてんのよ、あたしの足)
(まだ、火曜日なんですけど?)
(今日の午後なんて、ほぼ、座っていただけですよ?)
情けないなあと苦笑しながら、牧野に握り締められた左手を、右手で包むように摩る。
明子に向けてくれた、穏やかな、とても穏やかな、牧野のあの顔が、閉じた瞼の裏に浮かぶ。
耳に優しかったありがとうの言葉と、少しぶっきらぼうに言ってくれた心配だという言葉が、心を温かくした。
抱きしめてくれた温もりを思い出すと、体が自然と火照った。
そんな余韻に浸っていると、また、空腹を訴えてきたお腹に、明子は息を吐いた。
あと四十分ほどで、日付が変わろうという時間だった。
(あのさあ。お腹の虫さん)
(こんな時間に、なにを食べたいっていうのよ。もう)
自分に腹具合を尋ねて、けっきょく、夜はお煎餅以外なにも食べていなかったことを、明子は今さらながらに思い出した。