リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「早いわよ。どうしたのかしら。せっかく、ママに来てもらったのに」
「ママがちゃんと、牧野さんにお話してあげますからね」
母と娘の会話に、明子は天に向かって、とにかく誰か来てーっと叫び出したい気分になった。
(話しって……)
(なんの話しをしにきたの?)
(というか、牧野さん、今日は来ないのよね)
(うん)
どうやら、それを知らないらしい美咲に、仕方がないと明子は牧野の不在を告げた。
「井上さん、牧野課長なら、今日は客先に直行よ。いくら待ってても、今日は来ないわよ」
「ウソよ。そんな予定、なかったわ」
「ウソって言われても」
「ママ。いつもこうやって、私のことうそつきみたいに言うのよ、この人」
私、ちゃんと確認したんだからと、美咲は母親にそう言い募った。
「確認? 誰に?」
訝しがる明子に、美咲の母親が自慢げに告げた。
「牧野さんに決まっているでしょう。月曜日のデートのときに、今週の予定をちゃんと美咲は聞いているのよ」
ねえ、美咲。
余りにも堂に入ったその主張に、明子は思わず、ぽかんと口を開けた顔で美咲を見た。
その美咲は、明子とは目を合わそうとはせず、やや顔を引きつらせながら「そうよ」と、上擦った声で母親に答えた。
「それは……、なにかの間違いかと。牧野課長は、月曜日は雷によるトラブルで、徹夜作業でしたから」
このまま美咲の嘘を通してしまうわけにはいかないと、明子は自分が知っている事実を、やや表情を硬くして口にした。
「ママがちゃんと、牧野さんにお話してあげますからね」
母と娘の会話に、明子は天に向かって、とにかく誰か来てーっと叫び出したい気分になった。
(話しって……)
(なんの話しをしにきたの?)
(というか、牧野さん、今日は来ないのよね)
(うん)
どうやら、それを知らないらしい美咲に、仕方がないと明子は牧野の不在を告げた。
「井上さん、牧野課長なら、今日は客先に直行よ。いくら待ってても、今日は来ないわよ」
「ウソよ。そんな予定、なかったわ」
「ウソって言われても」
「ママ。いつもこうやって、私のことうそつきみたいに言うのよ、この人」
私、ちゃんと確認したんだからと、美咲は母親にそう言い募った。
「確認? 誰に?」
訝しがる明子に、美咲の母親が自慢げに告げた。
「牧野さんに決まっているでしょう。月曜日のデートのときに、今週の予定をちゃんと美咲は聞いているのよ」
ねえ、美咲。
余りにも堂に入ったその主張に、明子は思わず、ぽかんと口を開けた顔で美咲を見た。
その美咲は、明子とは目を合わそうとはせず、やや顔を引きつらせながら「そうよ」と、上擦った声で母親に答えた。
「それは……、なにかの間違いかと。牧野課長は、月曜日は雷によるトラブルで、徹夜作業でしたから」
このまま美咲の嘘を通してしまうわけにはいかないと、明子は自分が知っている事実を、やや表情を硬くして口にした。