リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「なにを言っているのっ 美咲が嘘をついているとでも言うのっ なんてひどい人なのっ」
「なら、取締役を通してでも、ご確認されたらどうですか? いっそのこと、今、井上さんのケータイで、牧野課長に電話でもされてみては?」
そうすれば、すぐに全てがはっきりすると言う明子を、美咲の母親はさらに目を吊り上げていった。
「あなたがっ、なにかを良からぬことを牧野さんに吹き込んだせいで、美咲と牧野さんは、今、ケンカをしてしまっているのよっ だから、美咲がいくら電話をしても、牧野さんは出てくださらないのよっ そうよねえ、美咲ちゃん。昨日だって、お話がしたくて、ずっと、牧野さんに電話していたのよねえ。かわいそうに」
ママがちゃんと、お話してあげますからねと、美咲の母親は美咲を抱きしめそうな勢いで、かわいそうにと慰めだした。
(ダメだわ)
(なにを言っても判らないわ、この人)
(もう、対処できないわ)
(どうしよう)
娘の嘘を、明子がどれだけ必死に否定しても、この母親にはそれを聞いてくれる耳などないのは明らかだった。
めまいと頭痛に襲われ、どうしようという言葉を頭の中でグルグルさせながら、それでも、とにかくここから追いださなければという使命のもと、明子は二人の説得を試み続けた。
「昨日の夜、予定が変わったんです。牧野課長は、緊急の案件で出かけることになりました」
美咲の母親を真っ直ぐに見て、明子はそう伝えた。
明子のその言葉を聞いて、美咲は視線を落として黙り込んでしまう。どうやら、本当に牧野は客先に行ってしまったと理解して、さきほどのような勢いで、明子の言葉を嘘と詰ることができなくなったらしい。
もともと、月曜の逢瀬すら嘘なのだ。
美咲に牧野の予定を正しく把握するなど、できようはずもない。
なにも言い返せなくなった美咲はそのまま放置して、明子は美咲の母親と向き合い続けた。
「ですから、牧野課長は、今日は朝から客先に直行されていますので、いくらここで待たれても無駄です。お引き取りください」
美咲の母をまっすぐに見据えたまま、明子はそう告げた。
「なら、取締役を通してでも、ご確認されたらどうですか? いっそのこと、今、井上さんのケータイで、牧野課長に電話でもされてみては?」
そうすれば、すぐに全てがはっきりすると言う明子を、美咲の母親はさらに目を吊り上げていった。
「あなたがっ、なにかを良からぬことを牧野さんに吹き込んだせいで、美咲と牧野さんは、今、ケンカをしてしまっているのよっ だから、美咲がいくら電話をしても、牧野さんは出てくださらないのよっ そうよねえ、美咲ちゃん。昨日だって、お話がしたくて、ずっと、牧野さんに電話していたのよねえ。かわいそうに」
ママがちゃんと、お話してあげますからねと、美咲の母親は美咲を抱きしめそうな勢いで、かわいそうにと慰めだした。
(ダメだわ)
(なにを言っても判らないわ、この人)
(もう、対処できないわ)
(どうしよう)
娘の嘘を、明子がどれだけ必死に否定しても、この母親にはそれを聞いてくれる耳などないのは明らかだった。
めまいと頭痛に襲われ、どうしようという言葉を頭の中でグルグルさせながら、それでも、とにかくここから追いださなければという使命のもと、明子は二人の説得を試み続けた。
「昨日の夜、予定が変わったんです。牧野課長は、緊急の案件で出かけることになりました」
美咲の母親を真っ直ぐに見て、明子はそう伝えた。
明子のその言葉を聞いて、美咲は視線を落として黙り込んでしまう。どうやら、本当に牧野は客先に行ってしまったと理解して、さきほどのような勢いで、明子の言葉を嘘と詰ることができなくなったらしい。
もともと、月曜の逢瀬すら嘘なのだ。
美咲に牧野の予定を正しく把握するなど、できようはずもない。
なにも言い返せなくなった美咲はそのまま放置して、明子は美咲の母親と向き合い続けた。
「ですから、牧野課長は、今日は朝から客先に直行されていますので、いくらここで待たれても無駄です。お引き取りください」
美咲の母をまっすぐに見据えたまま、明子はそう告げた。