リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「私、朝来るの早いんだけど? 少なくとも、あなたたちがロッカーにいるころは、たいてい、席についてもう仕事の準備しているわよ」

事実を告げている明子に、香里は「判るもんですかっ」と、噛みつき続けた。

「ロッカールームなんて、いつでも入れるんだからっ あんたみたいな性格の悪い女でなきゃ、そんなこと言いふらしたり」
「沼田さんに教えたのは、僕だよ。僕はキムキムなんだろう」

香里の言葉を、木村の淡々とした声が遮った。

「去年まで、三部にいた宮原とか前田とかが教えてくれたよ。なんか、あの子たち、そんな呼び方しながら、嫌な感じ笑い方するんだよねって」

別に主任から聞いたんじゃないよと、木村は弁当を食べながら淡々と香里に告げた。
木村のその言葉に、香里は信じられないという顔で木村を見た。

「それこそ、女子のロッカールームなんて、女子ならいつでも誰でも入れるだろ。お前らのバカ話む、聞いて呆れているヤツなんて、いくらでもいるだろ」

そうだろうと言うように香里を見上げる木村に、香里は悔しそうに唇を噛みしめていた。

「お前さ、女の子同士の内緒話を言いふらしたなんて怒ったけどさ、だいたい、外でされた困る話、そんなところでしているほうが悪いんだろ。いくらでもいるよ。あの子たち、こんなこと言っていたよって教えてくれる女子。僕、よその部の女子とも仲がいいから。お前らがロッカールームでしている話しなんて、ほとんどが筒抜けだからな」

ふんと鼻を鳴らしいそう言う木村に、沼田も言葉を続ける。

「沼っちなんて呼ばれてることなら、木村からも聞いたし、他の女子からも聞いてるよ、とっくに。バレていないとでも思っていたのか? そういうのは、すぐ耳に入るんだよ。野木主任や大塚主任にだって、ヘンに呼び名つけていただろう」
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