リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
けっきょく、昼食もそれほど食べられず、午後の始業を迎えた。
けれど、香里の姿も沙紀の姿も、幸恵の姿さえもなく、明子は頭を変えていた。
昼休みに入る直前。
ようやく、昨日から取り掛かっていた設計書を、共有フォルダにチェックアウトしてあげたことを、幸恵は明子に伝えてきた。
昼休みの間にそれを確認してみたが、設計書は不備が多く、とても検収済みにはできない代物だった。
それを幸恵に伝えたいのだが、肝心の幸恵の姿は室内にない。
また、判らない、教えてくれないと言い募るのだろうと思うと、不備があることを伝えることすら、気が重くなってきた。
‐どうしようもねえな、あいつら。
渡辺がぼそりと吐き出した呟きが、明子の耳に届いた。
「小杉主任」
川田が機会を狙っていたように、抑揚のない声で明子を呼んだ。
「原田。もう少し、静かにさせられませんか?」
やっぱり、それかと思いながら、明子は「すいません」と川田に告げた。
「いや……、その、小杉主任が、悪いわけじゃないのは判ってるんですけど。ちと、原田の声が煩過ぎて」
ややバツの悪そうな表情になった川田に、明子は「そうですね」と、ただ頷くしかなかった。
昨日の様子なら、あと一日、二日は耐えられるかと昨夜は思っていたが、昨日の午後は小林の目があった分、幸恵も大人しめにしていただけだったことを朝から思い知らされたのは、おそらく明子だけはないだろう。
川田たちが限界を訴えてくるのも仕方がないことだと、明子も思った。
正直、明子も幸恵のきゃんきゃんと喚く声には、辟易していた。
今夜あたり、夢にまで出てきてうなされそうだわと考えたら、思わず身震いしてしまった。
けれど、香里の姿も沙紀の姿も、幸恵の姿さえもなく、明子は頭を変えていた。
昼休みに入る直前。
ようやく、昨日から取り掛かっていた設計書を、共有フォルダにチェックアウトしてあげたことを、幸恵は明子に伝えてきた。
昼休みの間にそれを確認してみたが、設計書は不備が多く、とても検収済みにはできない代物だった。
それを幸恵に伝えたいのだが、肝心の幸恵の姿は室内にない。
また、判らない、教えてくれないと言い募るのだろうと思うと、不備があることを伝えることすら、気が重くなってきた。
‐どうしようもねえな、あいつら。
渡辺がぼそりと吐き出した呟きが、明子の耳に届いた。
「小杉主任」
川田が機会を狙っていたように、抑揚のない声で明子を呼んだ。
「原田。もう少し、静かにさせられませんか?」
やっぱり、それかと思いながら、明子は「すいません」と川田に告げた。
「いや……、その、小杉主任が、悪いわけじゃないのは判ってるんですけど。ちと、原田の声が煩過ぎて」
ややバツの悪そうな表情になった川田に、明子は「そうですね」と、ただ頷くしかなかった。
昨日の様子なら、あと一日、二日は耐えられるかと昨夜は思っていたが、昨日の午後は小林の目があった分、幸恵も大人しめにしていただけだったことを朝から思い知らされたのは、おそらく明子だけはないだろう。
川田たちが限界を訴えてくるのも仕方がないことだと、明子も思った。
正直、明子も幸恵のきゃんきゃんと喚く声には、辟易していた。
今夜あたり、夢にまで出てきてうなされそうだわと考えたら、思わず身震いしてしまった。