リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
昼休みが終わって、すでに三〇分が過ぎたころ。
ぞろぞろと人が入ってくる気配に、皆の目が入り口に向けられた。
幸恵、香里、沙紀だけでなく、美咲と新藤、坂下の姿もそこにあった。
-マジかよ。
川田の短く低い声が聞こえ、明子もさらに気持ちが沈んでいった。
美咲の母親の姿がないことだけが、唯一の救いかもしれないと、自分を励ますように慰めた。
「社内システムの改修は?」
野木が咎めるような声で坂下にそう尋ねると「部長たちに、午後は用があるから、呼ぶまで自分の部署に戻っていろと言われましたよ」と、坂下はうるせえなと言いたげな顔で答えた。
「吉田係長は?」
「知りませんよ。部長と、どっか行きましたよ」
そんなことまで知るかよと面倒そうに答える坂下に、野木もそれ以上は尋ねなかった。
席に着いた幸恵が、渋々といった足取りで、明子に近づいてきた。
「次は、どれを調べれば」
幸恵の第一声に、明子はがくりと肩を落としたい衝動を堪えて、むしろ、幸恵に現状を自覚させるのにいい機会だと自分に言い聞かせて、話を切り出した。
「それより。まずは、昨日からやっていた画面設計書ね。確認したんだけど、これだとまだ調査不足なの」
「なにが足りないんですかっ 足りないって言うならなにが足りないのか、ちゃんと教えてくれないと困るわ」
「例えばね、この社員コード。八〇〇〇以上の数字は入らないの。ほら」
明子は幸恵の目の前で社員コードを入力してみせ、八〇〇〇以上の数字を入れた時に表示されるエラーメッセージを幸恵に見せた。
ぞろぞろと人が入ってくる気配に、皆の目が入り口に向けられた。
幸恵、香里、沙紀だけでなく、美咲と新藤、坂下の姿もそこにあった。
-マジかよ。
川田の短く低い声が聞こえ、明子もさらに気持ちが沈んでいった。
美咲の母親の姿がないことだけが、唯一の救いかもしれないと、自分を励ますように慰めた。
「社内システムの改修は?」
野木が咎めるような声で坂下にそう尋ねると「部長たちに、午後は用があるから、呼ぶまで自分の部署に戻っていろと言われましたよ」と、坂下はうるせえなと言いたげな顔で答えた。
「吉田係長は?」
「知りませんよ。部長と、どっか行きましたよ」
そんなことまで知るかよと面倒そうに答える坂下に、野木もそれ以上は尋ねなかった。
席に着いた幸恵が、渋々といった足取りで、明子に近づいてきた。
「次は、どれを調べれば」
幸恵の第一声に、明子はがくりと肩を落としたい衝動を堪えて、むしろ、幸恵に現状を自覚させるのにいい機会だと自分に言い聞かせて、話を切り出した。
「それより。まずは、昨日からやっていた画面設計書ね。確認したんだけど、これだとまだ調査不足なの」
「なにが足りないんですかっ 足りないって言うならなにが足りないのか、ちゃんと教えてくれないと困るわ」
「例えばね、この社員コード。八〇〇〇以上の数字は入らないの。ほら」
明子は幸恵の目の前で社員コードを入力してみせ、八〇〇〇以上の数字を入れた時に表示されるエラーメッセージを幸恵に見せた。