リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「ちなみに、次に設計書はこの画面ね。これなら、項目の数も昨日の画面と比べると半分もないし、チェックも少ないはずだから、今から始めれば今日中にできると思うわ」
「今日中なんて」
明子の言葉に、そんなこと、とんでもないというように目を見開いて驚く幸恵に、明子はこぼれ出そうなため息を堪えて、静かに諭した。
「これくらいのものは、二時間くらいで仕上げていかないと、間に合わないわよ。なにをいつまでに仕上げるか、タスク管理表でスケジュールを確認しているでしょう」
明子にそう問われて、幸恵は俯き加減で視線を落とした。そんな幸恵に明子は淡々と言い聞かせ続ける。
「これは、検収済みにしておくけど、次からはこの状態じゃ、検収済みにはしないから。いいわね」
俯き加減で拗ねたような顔をしている幸恵は、明子におずおずと尋ねた。
「少しは、小杉さんだって、やってくれるんでしょ?」
自分一人でこんなにやるなんて無理だしと、今になって明子を当てにしているようなことを言う幸恵に「できません」と、明子は答えた。
「だって……、もともとは、小杉さんの仕事なんだし」
「それがなくなった分、もう他の仕事が入りました。だから、原田さんを手伝う余裕は、ありません」
きっぱりと言い捨てた明子にうなだれてしまった幸恵を見て、明子は念押しするように言い聞かせた。
「原田さん。いい、ちゃんと聞いてね。次からはこの状態では検収済みにはしません。教えてくれればできるって言ったわよね。だったら、教えたことは、ちゃんとやってくださいね。あとは、スケジュールがこれ以上押さないように、がんばって」
「もともと、小杉さんがやるはずの仕事なんだし、手伝ってくれるんでしょ。小杉さん、主任なんだし」
そこまで言われてもなお、まだ小杉を当てにしていたと言わんばかりの幸恵の訴えに、明子は静かに首を横に振って答えた。
「もし、仕事の割り振りを変えたいなら、まずはプロジェクトリーダーの野木主任に相談してください。私にできないから手伝ってと言われても、どうすることもできません」
早く始めないと終わらなくなるわよと、幸恵にそう言った明子は、これで話しは終わりだというように幸恵に背を向けて、黙々と仕事を始めた。
野木も川田も木村も。
もはや、誰も何も言わず、キーボートを叩き、仕事に集中していた。
(伝えることは、伝えたわ)
(あとは……)
(原田さん次第ね)
まだ、幸恵が背後にいる気配は感じていたけれど、明子は幸恵の存在など、もう、忘れたというように、ディスプレイを眺めていた。
「今日中なんて」
明子の言葉に、そんなこと、とんでもないというように目を見開いて驚く幸恵に、明子はこぼれ出そうなため息を堪えて、静かに諭した。
「これくらいのものは、二時間くらいで仕上げていかないと、間に合わないわよ。なにをいつまでに仕上げるか、タスク管理表でスケジュールを確認しているでしょう」
明子にそう問われて、幸恵は俯き加減で視線を落とした。そんな幸恵に明子は淡々と言い聞かせ続ける。
「これは、検収済みにしておくけど、次からはこの状態じゃ、検収済みにはしないから。いいわね」
俯き加減で拗ねたような顔をしている幸恵は、明子におずおずと尋ねた。
「少しは、小杉さんだって、やってくれるんでしょ?」
自分一人でこんなにやるなんて無理だしと、今になって明子を当てにしているようなことを言う幸恵に「できません」と、明子は答えた。
「だって……、もともとは、小杉さんの仕事なんだし」
「それがなくなった分、もう他の仕事が入りました。だから、原田さんを手伝う余裕は、ありません」
きっぱりと言い捨てた明子にうなだれてしまった幸恵を見て、明子は念押しするように言い聞かせた。
「原田さん。いい、ちゃんと聞いてね。次からはこの状態では検収済みにはしません。教えてくれればできるって言ったわよね。だったら、教えたことは、ちゃんとやってくださいね。あとは、スケジュールがこれ以上押さないように、がんばって」
「もともと、小杉さんがやるはずの仕事なんだし、手伝ってくれるんでしょ。小杉さん、主任なんだし」
そこまで言われてもなお、まだ小杉を当てにしていたと言わんばかりの幸恵の訴えに、明子は静かに首を横に振って答えた。
「もし、仕事の割り振りを変えたいなら、まずはプロジェクトリーダーの野木主任に相談してください。私にできないから手伝ってと言われても、どうすることもできません」
早く始めないと終わらなくなるわよと、幸恵にそう言った明子は、これで話しは終わりだというように幸恵に背を向けて、黙々と仕事を始めた。
野木も川田も木村も。
もはや、誰も何も言わず、キーボートを叩き、仕事に集中していた。
(伝えることは、伝えたわ)
(あとは……)
(原田さん次第ね)
まだ、幸恵が背後にいる気配は感じていたけれど、明子は幸恵の存在など、もう、忘れたというように、ディスプレイを眺めていた。