リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
もともと、こんな作業自体、今回の作業にはなかった。
昨日の昼休み、頭を捻って考え出した、幸恵用の作業だ。
明子の仕事をやらせろと牧野には言われたけれど、野木に尋ねてもそれは無理だと断言された。
ならばと、必死に考え出したものだった。
まずは、仕事に集中することを幸恵に覚えさせたかった。
美咲たちの誘いを断り、仕事に集中できるようにさせたかった。
急遽作った管理表に引いてあるスケジュールは、木村がこの作業をやった場合を想定して、工数算出をして引いたものだった。
幸恵が自分で進捗管理をすることで、仕事をするペースを、同期の社員と同じレベルに引き上げてあげたかった。だから、朝、わざわざ笹原に幸恵に一言、進捗管理について言って貰った。
自分で自分が請け負った仕事の進捗状況を、正しく認識する力を幸恵につけさせるために。
私ができるお膳立ては、これが限界だと、明子はそう頷いた。
あとは、幸恵に委ねるしかなかった。
彼女が変われるかどうかは、幸恵次第だ。
幸恵が変わってくれることを、明子は祈り、願った。
‐ひどーい。自分の仕事、幸恵ちゃんに押し付けて、逃げちゃうなんて。
‐さいてー。仕事だって、できないんじゃない、小杉さんって。
まだ、事態がよく飲み込めていない香里と沙紀のそんな場違いな言葉が聞こえたが、明子も、誰も、その言葉を取り合わなかった。
二人はその雰囲気に、顔を見合わせた。
自分たちの言葉に便乗してこない坂下の様子に、ようやく、自分たちが考えていた状況と違う状況になっていることを、二人も察したようだった。
美咲は、そんなことになど興味もないというように、髪を弄りながら携帯電話を眺め、ときどき、顔を上げては明子を睨みつけていた。
美咲のその視線を感じながら、明子はあえて気づいていないように振舞った。
一日に対峙するモンスターは、二体が限度よと、その胸中でぼやいた。
昨日の昼休み、頭を捻って考え出した、幸恵用の作業だ。
明子の仕事をやらせろと牧野には言われたけれど、野木に尋ねてもそれは無理だと断言された。
ならばと、必死に考え出したものだった。
まずは、仕事に集中することを幸恵に覚えさせたかった。
美咲たちの誘いを断り、仕事に集中できるようにさせたかった。
急遽作った管理表に引いてあるスケジュールは、木村がこの作業をやった場合を想定して、工数算出をして引いたものだった。
幸恵が自分で進捗管理をすることで、仕事をするペースを、同期の社員と同じレベルに引き上げてあげたかった。だから、朝、わざわざ笹原に幸恵に一言、進捗管理について言って貰った。
自分で自分が請け負った仕事の進捗状況を、正しく認識する力を幸恵につけさせるために。
私ができるお膳立ては、これが限界だと、明子はそう頷いた。
あとは、幸恵に委ねるしかなかった。
彼女が変われるかどうかは、幸恵次第だ。
幸恵が変わってくれることを、明子は祈り、願った。
‐ひどーい。自分の仕事、幸恵ちゃんに押し付けて、逃げちゃうなんて。
‐さいてー。仕事だって、できないんじゃない、小杉さんって。
まだ、事態がよく飲み込めていない香里と沙紀のそんな場違いな言葉が聞こえたが、明子も、誰も、その言葉を取り合わなかった。
二人はその雰囲気に、顔を見合わせた。
自分たちの言葉に便乗してこない坂下の様子に、ようやく、自分たちが考えていた状況と違う状況になっていることを、二人も察したようだった。
美咲は、そんなことになど興味もないというように、髪を弄りながら携帯電話を眺め、ときどき、顔を上げては明子を睨みつけていた。
美咲のその視線を感じながら、明子はあえて気づいていないように振舞った。
一日に対峙するモンスターは、二体が限度よと、その胸中でぼやいた。