リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
すごすごと、こんなはずじゃなかったのにというように、打ちひしがれた様子で席に戻った幸恵を、明子は肩越しにちらりと振り返って見た。
とんでもないことになったという悲壮感をまとって席に座った幸恵は、今にも泣き出しそうな顔を沼田に見せるが、沼田はそんなことにすら気づいていないようにキーボードを叩き続け、代わって野木がそんな幸恵に対して口を開いた。
「原田。俺と沼田と小杉主任は、明日の午前中は、土建会社で打ち合わせでいないからな。小杉主任への質疑は全部QA表であげて、それは保留にして作業を進めろよ。進捗、いくらでも遅れるぞ」
「打ち合わせも、私が」
泣き出しそうな顔で、それでも野木を睨みつけるようにして、幸恵はそう野木に言い返すが「いい加減にしろっ」という野木の叱責の声で、言葉の先を飲み込んだ。
「お前が行って、なんの役に立つんだよ。それでなくても仕事が遅れてるんだからさ、くだらないこと言ってないで、さっさと仕事しろよ」
野木にそう説かれても、幸恵は不服そうな顔つきで野木に反発する。
「なんで、そんなときばっかり、小杉さんが出て行くんですか。検収しかしないって」
「小杉主任は、客からの要請で同席してもらうんだよ。課長が月曜にそう説明しただろう。坂下、お前も聞いていただろう」
いきなり、野木から話しを振られた坂下は、不承不承というように「言ってましたよ」と答えた。
ここにいるほとんどの者が聞いていたあの言葉を、聞いていないと否定するのは分が悪いと、彼なりに判断したらしい。
そんな坂下を、幸恵はきつい目で睨みつけていた。
どうして自分の味方になってくれないのかという不満が、その表情からは見て取れた。
「言ったのは、事実だ。お前もその場にいただろう」
聞いていないのは、お前の勝手だというように幸恵を突き放す坂下から、幸恵はふいっと顔を背けた。
野木は、そのまま幸恵を説き伏せ続けた。
とんでもないことになったという悲壮感をまとって席に座った幸恵は、今にも泣き出しそうな顔を沼田に見せるが、沼田はそんなことにすら気づいていないようにキーボードを叩き続け、代わって野木がそんな幸恵に対して口を開いた。
「原田。俺と沼田と小杉主任は、明日の午前中は、土建会社で打ち合わせでいないからな。小杉主任への質疑は全部QA表であげて、それは保留にして作業を進めろよ。進捗、いくらでも遅れるぞ」
「打ち合わせも、私が」
泣き出しそうな顔で、それでも野木を睨みつけるようにして、幸恵はそう野木に言い返すが「いい加減にしろっ」という野木の叱責の声で、言葉の先を飲み込んだ。
「お前が行って、なんの役に立つんだよ。それでなくても仕事が遅れてるんだからさ、くだらないこと言ってないで、さっさと仕事しろよ」
野木にそう説かれても、幸恵は不服そうな顔つきで野木に反発する。
「なんで、そんなときばっかり、小杉さんが出て行くんですか。検収しかしないって」
「小杉主任は、客からの要請で同席してもらうんだよ。課長が月曜にそう説明しただろう。坂下、お前も聞いていただろう」
いきなり、野木から話しを振られた坂下は、不承不承というように「言ってましたよ」と答えた。
ここにいるほとんどの者が聞いていたあの言葉を、聞いていないと否定するのは分が悪いと、彼なりに判断したらしい。
そんな坂下を、幸恵はきつい目で睨みつけていた。
どうして自分の味方になってくれないのかという不満が、その表情からは見て取れた。
「言ったのは、事実だ。お前もその場にいただろう」
聞いていないのは、お前の勝手だというように幸恵を突き放す坂下から、幸恵はふいっと顔を背けた。
野木は、そのまま幸恵を説き伏せ続けた。