リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
「さすが、女だてらに、林田派の名乗り上げただけあるよな。人を睨みつけておいて、別にぃっだってよ」
「そんな派閥に入った覚えはないし、派閥なんて興味ないから」
「へえ。じゃあ、あれか。本部長の女か」
「坂下っ」
野木の叱責するような声に、坂下は鼻を鳴らして「なんだよ」と、言い返した。
「自分らだって、陰でこそこそ言ってるだろうが。本部長がバックにいると思ってるから、あんな女にヘコヘコしてんだろう」
ほんの一瞬、野木が言葉を詰まらせた。
その沈黙が全てのようで、明子は知らず、また左手を右の腕に重ね置いた。
牧野が残してくれたあの温もりを思い出そうとするように、重ね置いた。
(人を呪わばって、やつかな)
(これが、大鉈を振るって鬼退治した、ツケなのかあ)
(したくてしたわけじゃ、ないんだけどなあ)
(けっこう、堪えるかも)
前に座る川田と目があった。
わずかに泳いでいるその目に、明子は笑いかけた。
「坂下くん」
明子は振り返ることなく、その目を美咲に向けながら、背後の坂下を呼んだ。
なんだよと言う声に、背を向けたまま言葉を続けた。
「一つ、訂正するわ」
「あ?」
「派閥に入っていないというのは、正確じゃなかったわ。入っているが、正解だわ」
川田の目が、ぎょっという感じで大きくなった。
岡島も、対処に困っているような表情になった。
携帯電話を弄るのに夢中だった美咲は、ようやく、明子の視線に気づき、不思議そうに明子を見ていた。
「そんな派閥に入った覚えはないし、派閥なんて興味ないから」
「へえ。じゃあ、あれか。本部長の女か」
「坂下っ」
野木の叱責するような声に、坂下は鼻を鳴らして「なんだよ」と、言い返した。
「自分らだって、陰でこそこそ言ってるだろうが。本部長がバックにいると思ってるから、あんな女にヘコヘコしてんだろう」
ほんの一瞬、野木が言葉を詰まらせた。
その沈黙が全てのようで、明子は知らず、また左手を右の腕に重ね置いた。
牧野が残してくれたあの温もりを思い出そうとするように、重ね置いた。
(人を呪わばって、やつかな)
(これが、大鉈を振るって鬼退治した、ツケなのかあ)
(したくてしたわけじゃ、ないんだけどなあ)
(けっこう、堪えるかも)
前に座る川田と目があった。
わずかに泳いでいるその目に、明子は笑いかけた。
「坂下くん」
明子は振り返ることなく、その目を美咲に向けながら、背後の坂下を呼んだ。
なんだよと言う声に、背を向けたまま言葉を続けた。
「一つ、訂正するわ」
「あ?」
「派閥に入っていないというのは、正確じゃなかったわ。入っているが、正解だわ」
川田の目が、ぎょっという感じで大きくなった。
岡島も、対処に困っているような表情になった。
携帯電話を弄るのに夢中だった美咲は、ようやく、明子の視線に気づき、不思議そうに明子を見ていた。