リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
『資料って、昨日、やっていたやつだろ?』
それなら、今、見てる。
まるで、明子がそう言いだすのを予測していたかのように、牧野はそう言った。
『サーバーにあげてあるのが最新のやつだよな。タイムスタンプが昨日の二十二時すぎのやつ』
「はい。それです」
『まだ、ざっくりとしか見てないが、これで大丈夫だろ。直しが必要なときは、渡辺に指示してやらせておくから、心配するな』
「判りました。お願いします」
『会社のメール、家でも取れるのか?』
「はい。できますけど」
『だったら、議事録のテスキトデータ、お前宛てでメールしてやるよ。わざわざ、休みの日に出てくることないだろう』
思いがけない牧野の言葉に、明子は吃驚したような声で「いいんですか?」と牧野に確認した。
「外に持ち出して、問題になりませんか?」
『部長の了解はもらうよ。たぶん、問題ないだろ。一応、全部送るけどな、最初の打ち合わせの議事録を見れば十分だ。それ以降は、目を通しても意味がねえ』
「意味が、ない?」
『見れば判る。正直、こんなひどい議事録、初めて見たぞ、俺は。いくら君島さんが仕切ってないにしても、お粗末すぎだ。若干の遅れなんて生易しい状況じゃないかもな』
ややため息混じりの牧野の言葉に、明子は天を仰いだ。
牧野がそこまで言うとなれば、それなりの覚悟をしなければならないと言うことだ。
(マジっすかーっ)
(勘弁してーっ)
それは、とんでもない非常事態じゃないですかと、明子は電話の向こうにいる男に喚き散らしたくなるのを必死に堪えた。
口にしたところで、最終的にやりこめられるのは自分の方だという計算くらいはできた。
(なんで?)
(よりにもよって、そんな客先に、例え、ホンの一時とはいえ、あたし、放り込まれるの?)
(いったい、なんの罰ゲームよ、これ)
(とりあえず、ちゃっちゃと片付けて、さっさと帰ってきたいなあ)
明子のその思惑が伝わったのか。
牧野が真剣な声で、明子に呼びかけてきた。
『小杉』
「はい?」
『もういっぺん、言っとくからな』
「は?」
『全部、一人で抱えるな。いいな?』
それだけ告げて、牧野からの電話は一方的に、ぶつりと切れた。
(……)
(なによ?)
(なんだって言うのよぉー)
(牧野ーっ)
謎の言葉とともに切れた電話に、明子は吠えた。
それなら、今、見てる。
まるで、明子がそう言いだすのを予測していたかのように、牧野はそう言った。
『サーバーにあげてあるのが最新のやつだよな。タイムスタンプが昨日の二十二時すぎのやつ』
「はい。それです」
『まだ、ざっくりとしか見てないが、これで大丈夫だろ。直しが必要なときは、渡辺に指示してやらせておくから、心配するな』
「判りました。お願いします」
『会社のメール、家でも取れるのか?』
「はい。できますけど」
『だったら、議事録のテスキトデータ、お前宛てでメールしてやるよ。わざわざ、休みの日に出てくることないだろう』
思いがけない牧野の言葉に、明子は吃驚したような声で「いいんですか?」と牧野に確認した。
「外に持ち出して、問題になりませんか?」
『部長の了解はもらうよ。たぶん、問題ないだろ。一応、全部送るけどな、最初の打ち合わせの議事録を見れば十分だ。それ以降は、目を通しても意味がねえ』
「意味が、ない?」
『見れば判る。正直、こんなひどい議事録、初めて見たぞ、俺は。いくら君島さんが仕切ってないにしても、お粗末すぎだ。若干の遅れなんて生易しい状況じゃないかもな』
ややため息混じりの牧野の言葉に、明子は天を仰いだ。
牧野がそこまで言うとなれば、それなりの覚悟をしなければならないと言うことだ。
(マジっすかーっ)
(勘弁してーっ)
それは、とんでもない非常事態じゃないですかと、明子は電話の向こうにいる男に喚き散らしたくなるのを必死に堪えた。
口にしたところで、最終的にやりこめられるのは自分の方だという計算くらいはできた。
(なんで?)
(よりにもよって、そんな客先に、例え、ホンの一時とはいえ、あたし、放り込まれるの?)
(いったい、なんの罰ゲームよ、これ)
(とりあえず、ちゃっちゃと片付けて、さっさと帰ってきたいなあ)
明子のその思惑が伝わったのか。
牧野が真剣な声で、明子に呼びかけてきた。
『小杉』
「はい?」
『もういっぺん、言っとくからな』
「は?」
『全部、一人で抱えるな。いいな?』
それだけ告げて、牧野からの電話は一方的に、ぶつりと切れた。
(……)
(なによ?)
(なんだって言うのよぉー)
(牧野ーっ)
謎の言葉とともに切れた電話に、明子は吠えた。