リスタート ~最後の恋を始めよう~ 【前編】
へこむその気分を変えようと、村田から貰ったおからドーナツに、明子は手を伸ばした。
(おからのドーナツかあ)
(今度、作ってみようかなあ)
(おから、たくさん貰ったし)
(そういえば……)
(前に、おからでピザ生地を作ったっけ)
(また、作ってみようかなあ)
(レシピ、どっかにあったよね)
そんな、仕事とはまったく関係ないことを考えて、しばし脳を休息させた。
昼過ぎからずっと、幸恵のことを頭の片隅で気にかけながらも、少しでも仕事を片付けてしまおうと、明子はひたすらキーボード叩き、マウスを動かし、ディスプレイを見つめていた。
他の者たちも、午前中の耳障りな声がなくなった分、午後は仕事に集中しやすかったらしい。
パチパチ。
カチカチ。
機械的なその物音にまぎれる様に、ときおり、人の会話する声が混じる。
平穏だけど、仕事への熱気が漂うそんな室内では、時間がものすごい速さで流れているようだった。
そんなふうに集中した分、疲労の蓄積も大きいらしい。
目の奥がズンと重く、肩も背中も固まっていた。
一口、ドーナツを頬張って、冷めてしまったコーヒーを飲む。
糖分が、疲れた脳にじわりと染みていくようだった。
(あー)
(ホントに、どうしよ?)
(原田さん、無理かなあ、ダメかなあ)
(一晩寝たら、やる気になってくれないかなあ)
(ホントに、残る手段は催眠術かしらね)
(目が覚めたら、あなたは仕事がしたくなるぅって)
さきほど脳裏を掠めた思い付きが、またむくりと浮上して、怪しい黒ずくめの男が幸恵に催眠術を掛けている光景が、明子の脳裏を掠めた。
思わず、くすりと、小さな笑いが零れた。
(おからのドーナツかあ)
(今度、作ってみようかなあ)
(おから、たくさん貰ったし)
(そういえば……)
(前に、おからでピザ生地を作ったっけ)
(また、作ってみようかなあ)
(レシピ、どっかにあったよね)
そんな、仕事とはまったく関係ないことを考えて、しばし脳を休息させた。
昼過ぎからずっと、幸恵のことを頭の片隅で気にかけながらも、少しでも仕事を片付けてしまおうと、明子はひたすらキーボード叩き、マウスを動かし、ディスプレイを見つめていた。
他の者たちも、午前中の耳障りな声がなくなった分、午後は仕事に集中しやすかったらしい。
パチパチ。
カチカチ。
機械的なその物音にまぎれる様に、ときおり、人の会話する声が混じる。
平穏だけど、仕事への熱気が漂うそんな室内では、時間がものすごい速さで流れているようだった。
そんなふうに集中した分、疲労の蓄積も大きいらしい。
目の奥がズンと重く、肩も背中も固まっていた。
一口、ドーナツを頬張って、冷めてしまったコーヒーを飲む。
糖分が、疲れた脳にじわりと染みていくようだった。
(あー)
(ホントに、どうしよ?)
(原田さん、無理かなあ、ダメかなあ)
(一晩寝たら、やる気になってくれないかなあ)
(ホントに、残る手段は催眠術かしらね)
(目が覚めたら、あなたは仕事がしたくなるぅって)
さきほど脳裏を掠めた思い付きが、またむくりと浮上して、怪しい黒ずくめの男が幸恵に催眠術を掛けている光景が、明子の脳裏を掠めた。
思わず、くすりと、小さな笑いが零れた。