キスはおとなの呼吸のように【完】
「なんていうか、はがしてしまうのがすこしさみしいっていうか。学生時代のおれは、お世辞にもできのいいこどもじゃなかったから。両親といっしょにどこかにでかけたり、いっしょに食事をしたっていう記憶もほとんどなくて。それに、ほら。おれ、今でも配達にいったりしてるでしょ。こどものころにのっていた三輪車が、四輪のヴァンに変わっただけで、毎日この場所からでかけていくことには変わりないっていうか……」
年うえで、ふだんおとなに見えるカズトも、すんなりとこどもからおとなになったわけではないんだな。
年うえで、ふだんおとなに見えるカズトも、すんなりとこどもからおとなになったわけではないんだな。