キスはおとなの呼吸のように【完】
「先輩。ちゃんときいています? こういうことは上司とか部下とか、そういうことじゃなくて……」

先輩はむにゃむにゃいいながら寝返りを打った。
わたしの言葉がまるで届いていない。
こちらに対して背をむける。

まさか。

そう思い、おそるおそるベッドに近づき先輩の顔をのぞきこんだ。

すると。

先輩はちいさくいびきをかいている。
寝たふりなどではなく、完全に眠っているようすだった。
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