キスはおとなの呼吸のように【完】
「なにするんですか。先輩は奥さんがいるんでしょ。っていうか、こんなことをするために寝たふりまでしてわたしの部屋にきたんですか」

こんなふうにすんなりと感情の言葉が口からでたのは、大上先輩が酔っているという確信があったからだろうか。

わたしのなかにも多少なりともお酒がはいっていたということもあるかもしれない。

反射的とはいえ、自分のせりふに自分でもおどろいてしまった。

だが。

わたしの怒りに対し、先輩はなんの反応もしめさない。
目をつぶったまま気持ちのよさそうな表情。

わたしは、さすがに頭にきた。
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