キスはおとなの呼吸のように【完】
「すまない。袴田。おれにベッドを貸してくれたんだよな。ソファのうえじゃ一睡もできなかったろ。本当にめいわくをかけた」

しっかりしたおとなの声でそういいながらケータイ電話を操作する。
奥さんに電話をするようだ。

「おれのせいで寝不足にさせてしまったな。すまない。明日は一日ゆっくり休んで体力を回復させてくれ。月曜日からはまた四葉屋へのアプローチにいくぞ」

酔ってわたしにキスをしたことなど、まるでなかったみたいにいつもどおりだ。

大上先輩はケータイを耳にあてながらいった。
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