キスはおとなの呼吸のように【完】
「それなら、いわせてもらいますが」

おそるおそる口をひらいた。

「さっきの言動、違うと思います。たしかに売り手は買い手に対し、低姿勢でいなければいけないっていうことは、わたしにだってわかります」

それは入社以来先輩に口を酸っぱくして教わったことだし、じっさい先輩といっしょに毎日営業にいって感覚としても理解している。

「でも」

わたしはいつかのカズトの言葉と兼田社長の横柄な態度を思いだした。
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