ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
お兄ちゃんはあたしの足音に気付いたのか、0時を過ぎていたのにノックをする前にドアを開けてくれた。


「どうした?」


部屋に入れてくれたお兄ちゃんが、あたしに微笑みを向ける。


その表情が少しだけ傷付いているように見えて、胸の奥がチクリと痛んだ。


「あのね……」


「うん?」


ベッドに腰掛けたお兄ちゃんは、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめている。


あたしは意を決して、ゆっくりと口を開いた。


「お願いがあるの……」


小さく零した声が、静かな部屋の中に溶けるように消えた──。


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