ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
雪ちゃんが一階の客間を使うようになってから一週間も経たないうちに、彼は外出をする時には車椅子を使うようになった。


外出と言ってもそのほとんどが通院だから、病院まではおじさんやおばさんが車を運転して行くんだけど……。


雪ちゃんは、駐車場から病院の入口までの数十メートルの歩行は疎か、院内での移動でも車椅子を使う事を余儀無くされる状態だった。


初めて車椅子を使った時の彼は、悔しさを滲ませた痛々しい表情を浮かべていた。


だけど……。


それでも微笑む雪ちゃんを前に、あたしも無理矢理笑みを繕う事しか出来なかった。


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