ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「おめでとう、渚」


囁くように降って来た優しい声に、思わず涙が溢れた。


ピタリとくっ付いたあたしの体に伝わる冷たい体温は、雪ちゃんが早くから待っていてくれたんだって事を、どんな言葉よりも雄弁に物語っていて……。


込み上げて来る涙と一緒に、彼への想いが溢れ出した。


「雪ちゃん、あたしね……雪ちゃんの事が好きなの……」


震える声で小さく小さく零した言葉に応えるように、雪ちゃんがフッと笑ったのが何となくわかった。


だけど……。


あたしは緊張で顔を上げられなくて、雪ちゃんの胸に顔を埋めた。


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