夜嵐
「今は都心駅付近だ」
職場に向かいながら、通話をした。
若干、周りがうるさく、聞き取りにくい。
『そう』
「何か、問題でも起きたか」
「いいやぁ~問題は起きてないよ。
手伝ってほしいことがあるんだ」
「手伝い?」
「そうそう。
Aに渡す書類の作成。
あぁ、書類ってもX社とZ社の報告書ね」
「まだ、作成してないのか」
俺は怒鳴り口調で言った。
KがUに報告すると聞いた時点で、報告書は本部、つまり俺の職場で作成が行われているはずだ。
手順も、今後の進行も伝わっているはずである。
「作成は終えたよ。
これからAに渡しに向かうんだけど、別の仕事が入ってね」
「……了解」
Wの指示に承諾した。
X社の仕事を終えた時点で、今日の仕事は終えている。
職場に戻ったところで、ネット世界、『仮想世界』に潜り込み、『情報』を集めることしかない。
「んじゃ、よろしく」
通話が切れた。
携帯をスーツの内ポケットに戻し、職場へと向かった。
これで何度目だろう。
アイツは、何かあれば俺を頼る。
同期なる腐れ縁に付き合わされる。
横断信号が赤になり、信号待ちをした自動車が動き出した。
俺は立ち止り、周囲を見渡した。
人で混雑した都心園駅付近、音楽と人の雑音で賑わう町を監視カメラから見張る。
人の行動を監視され、俺も見張られているだろう。
電柱・ビルに忍ばせているのはもちろんのこと、宇宙の衛星を通しても行うことができる。
何重にも、構成された監視体制の中で、我々『人間』は生きなければならない。
信号が青へ変わり、周りの人間は進み出した。
『強制』された世界に生き、『人生』という用意された道を進む。
職場に向かいながら、通話をした。
若干、周りがうるさく、聞き取りにくい。
『そう』
「何か、問題でも起きたか」
「いいやぁ~問題は起きてないよ。
手伝ってほしいことがあるんだ」
「手伝い?」
「そうそう。
Aに渡す書類の作成。
あぁ、書類ってもX社とZ社の報告書ね」
「まだ、作成してないのか」
俺は怒鳴り口調で言った。
KがUに報告すると聞いた時点で、報告書は本部、つまり俺の職場で作成が行われているはずだ。
手順も、今後の進行も伝わっているはずである。
「作成は終えたよ。
これからAに渡しに向かうんだけど、別の仕事が入ってね」
「……了解」
Wの指示に承諾した。
X社の仕事を終えた時点で、今日の仕事は終えている。
職場に戻ったところで、ネット世界、『仮想世界』に潜り込み、『情報』を集めることしかない。
「んじゃ、よろしく」
通話が切れた。
携帯をスーツの内ポケットに戻し、職場へと向かった。
これで何度目だろう。
アイツは、何かあれば俺を頼る。
同期なる腐れ縁に付き合わされる。
横断信号が赤になり、信号待ちをした自動車が動き出した。
俺は立ち止り、周囲を見渡した。
人で混雑した都心園駅付近、音楽と人の雑音で賑わう町を監視カメラから見張る。
人の行動を監視され、俺も見張られているだろう。
電柱・ビルに忍ばせているのはもちろんのこと、宇宙の衛星を通しても行うことができる。
何重にも、構成された監視体制の中で、我々『人間』は生きなければならない。
信号が青へ変わり、周りの人間は進み出した。
『強制』された世界に生き、『人生』という用意された道を進む。