初恋センチメンタル*





「野々原美緒さん?」


「はい?」




声のほうへ、反射的に振り向いた。


だ、だれ…?すっごくイケメンなんですけど…。


まさか白馬の王子様ー!?あたしにもついに春がやってきた!?




「これケータイ。校門のところに落ちてたから」


「え、あ、はい…。」




あっさりしすぎた会話にあたしは拍子抜け。


ポカンとだらしなくあいた口がふさがらない。




「じゃあ、それだけだから」



もう行っちゃうの!?


もう少し話したいなぁ……なぁーんてあたし乙女みたーい!!




「クスッ……」


「へ!?」


「面白い子だね、野々原さんって」




笑った!!


今日会ったばっかだけど、名前も知らない、学年もクラスも知らない人だけど…




この胸のドキドキはなに……?




「あのっ、名前教えてもらっていいですか!?」




そんなことを思ってたら、口が勝手に話していた。


嘘、あたしまさかのしでかした!?



ほら……困ってるし。



最悪だ

あたしのバカ、大バカ者




急に恥ずかしいし………。



ケータイを持つ手で、隠れるはずはないって分かってても、手で顔をおおわないなんてできなかった。




あわわわ……


穴があったらはいりたい

ってか、穴掘るから入らせて




「俺ね、藍沢輝。2年生」


「なにがですか?」


「俺の名前と学年だけど?」




恥ずかしさを忘れ、顔をあげると……


優しく微笑む藍沢先輩の顔。





これがあたしと輝の出会いだった……_____。









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