優しいなんて、もんじゃない



ユウの曲はまだ楽譜なしでは弾けない。そんな何時も弾くジャズほど練習してるわけじゃないし。


メロディーは覚えてるから、大学とかでうっかり口ずさんでしまうくらいだ。



と。

高さを調節しながら椅子に座り、楽譜を立てかけた時。




「弥生ちゃーん!」


勢い良く開いたドアの向こうから入って来たのは、弥生さんの友人、美月さんだった。



にこにこと笑っている彼女に、店内の視線は一気に集結するがそんなことお構いなしだ。


スタスタと弥生さんがいるカウンターまで歩み寄り、身を乗り出すようにして接近。あ、河井さん半ば強引に席移動させられてる。




「ちょっと聞いて下さいな!」

「もーなにー。営業妨害なんだけどー。」

「喋り方きしょいから。あのね、ユ……、」



ユ?

当たり前に、耳を澄ましていた私は可笑しな所で中断された言葉の先が気になっていた。




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