霧の獣


聖者によって湖の中に連れて行かれた俺は

水中の中で大格闘していた。



「苦しい・・・死・・・ぬ」
必死に俺が息を止めている姿を見て、
聖者は笑っている。



『クスクス、呼吸をしても大丈夫ですよ。』
聖者に言われて、俺は半信半疑で少し呼吸をしてみる。



「息が・・・出来る・・・!?」
驚く俺に聖者は言う。



『我ら、聖者が認めし人間であるなら、
湖の中に入っても呼吸が出来るのです。』



その説明を聞き疑問がわいた俺は聖者に聞く。



「認めない人間は?幻獣は??」
と。



俺のその質問に
聖者はとても苦しそうな表情を見せた。
『幻獣は、一時的に豹変状態が解けます。』



何故このとき聖者が苦しそうな表情を見せたのか
俺にはわからなかった。



「豹変が解ける?人間は・・・「さぁ、着きましたよ。」
俺が、人間はどうなのかを聞こうとしたとき、
それを、遮るかのように聖者は言った。



俺が目の前に見たものは
大きな門のような扉が立っていた。



まるで、それは巨大なお城の門のように
しっかりと閉ざしてあって、
俺の村の大人達が全員がかっても開きそうになかった。



聖者はその門に向かって呪文のような
意味不明な言葉を唱えた。



そして、呪文が終わると同時に門は
呪文に反応するかのように大きく開いた。



俺は、門の中にはいると
そのすぐ先にあった扉奥へと案内された。




.
< 13 / 32 >

この作品をシェア

pagetop