五人の王子に仕えしは




「……だから、まだお前は俺が嫌なのかって言ってんの」
「え、いや、まあ、うん」


 私が動揺しながらも本心を言うと、綺麗な顔に苛々としたような皺が刻まれた。な、なんでイラついてんの?

 奏君は今にもコンクリートの壁を蹴破る勢いでイラついている。ひしひしと伝わってきて逆に怖い。



「なんで」
「……なんでって、あんなに酷い事しておいて嫌じゃない方がおかしいでしょ」
「……」


 不機嫌マックスだった奏君の顔が、一瞬歪む。
それは動揺からか、よく分からないけど、吸い込まれる様に綺麗な彼の瞳は悲しそうにも見えた。





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