高天原異聞 ~女神の言伝~

「な、なによ、急に」

「わかった!」

 内心慌てる美咲に、美里がにやりと笑う。

「彼氏ができたな」

「えええ? 美咲先生、やだ、マジでぇ?」

「ちょっと、何言うのよ!」

 慌てて否定するも、二人は全然話を聞いていない。

「何か肌艶違うし、絶対そうだな」

「そおかぁ、何かフェロモン出てると思ったんだよねぇ。恋する女の子のフェロモンだぁ」

 すでに彼女らの中で、美咲に恋人ができたことになっている。

「彼氏なんてできてないから!」

 声を潜めて再度否定するが、完全に二人はスルーだ。

「まあまあ、隠さなくても言いふらしたりしないから」

「美咲先生が幸せならそれでいいよ」

 軽く溜息をつく美里に、莉子がうんうんと頷く。


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