高天原異聞 ~女神の言伝~

「結婚してもやめないよね?」

「何言ってるのよ、彼氏なんていないし、結婚なんて、まだまだしません」

「えー、結婚は早いほうがいいと思うなぁ」

 莉子が口を尖らせて甘えたように言う。
 美里が首を縦に振る。

「昔は、今の中学生くらいでもう結婚してたんだから、それに比べりゃあたし達みんな適齢期過ぎてるいかず後家ってことじゃん」

「やだぁ、美里。ちょー失礼。あたしたち、まだまだ全然いけてるしぃ」

「こらこら、ここは図書館よ。もう、静かにして」

 利用客は少ないが、いないわけではない。
 これ以上喋らせていたら、何を言い出すかわかったものではない。

「予約はしといたから、他の本借りるなら選んできて」

「今日はいいや。予約本待つから」

「あたしも返却」

 美里が持っていた本をカウンターに置く。

「今度彼氏紹介してね」

 莉子が小さく呟いて、二人は手を振って図書館を出て行った。





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